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ROOM 1C|RIE EGUCHI

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サロン「菫色の音楽室」を主催予定の江口理恵の小部屋。
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RIE EGUCHI & くるはらきみ|文学者の音楽室《3》|物語と音楽にみる舞踏会幻想

 『シンデレラ』などのおとぎ話や『ボヴァリー夫人』『谷間の百合』などのフランス小説で出会いの場の象徴として、あるいはエドガー・アラン・ポーの『赤い死の舞踏会』のようにシュールすぎる時代を映す場として描かれてきた「舞踏会」。  今の日本ではなかなか参加する機会がないけれど、海外では今も毎年色々な所で開催され、日本からも参加できるイベント的なものもあるらしい…。  今回、Mauve街で開催中のオンライン「舞踏会」もそのひとつ。しばし、文学や音楽で描かれた舞踏会を空想し、幻想の舞踏

RIE EGUCHI & 野村直子|文学者の音楽室《2》|夏目漱石と音楽

 大文豪、夏目漱石(1867-1916)の作品を好きになったのは、実はわりと最近である。  『坊っちゃん』や『こころ』には遠い昔に教科書で触れたはずだが、教科書というだけで敬遠してしまっていた。だが友人に薦められて読んだ『草枕』の幻想的な雰囲気と流麗な文章、大好きなラファエル前派のミレーの「オフィーリャ」の絵画の描写にすっかり嵌まって以来、何かを取り戻そうとするかのような勢いで読んでいる。『幻影の楯』、『薤露行』、『文鳥』、『明暗』などが好みの路線だけれど、『坊っちゃん』もや

RIE EGUCHI & 横井まい子|シスターフッドと音楽《2》|ふたりのマリア、そして無数のマリアたち

 ——12月。  空が深い菫色に染まり、「創造力」という名の星々が燦然と煌めくモーヴ街のクリスマス。  何十年も昔、英国で過ごした子供時代のクリスマスの想い出は、何人かで近所の家々を訪ね、玄関先でクリスマスソングを披露して募金を呼びかける「キャロリング」だ。今では以前ほどは行われないと聞くが、玄関の扉を開くと大人や子供の小さな即席合唱団が歌をプレゼントしてくれる光景は、忘れられないノスタルジックな一幕。この風習はヴィクトリア朝から盛んになったものだといわれる。クリスマスはい

RIE EGUCHI & monomerone|文学者の音楽室《1》|ヴァージニア・ウルフとロンドン

 物語の中には、音楽に関するモチーフがわりと頻繁に登場する。本シリーズ「文学者の音楽室」では、作家・文学者たちがどのように音楽を受容し、関わってきたのかを記述や記録から辿り、彼らの音楽のある菫色的なライフスタイルと一緒にご紹介。毎回アーティストをお迎えし、その回のテーマから自由に着想した作品を制作発表して頂く。  ウルフ(1882-1941)は、英国の20世紀モダニズム文学を代表する作家の一人で、霧とリボンの展覧会にも度々登場する極めて菫色的な存在。  “意識の流れ”とい

RIE EGUCHI & monomerone|シスターフッドと音楽《1》|音楽に祝福された、ピエタ院の少女たち

 近年、ようやく注目され始めた女性作曲家や女性の指揮者たち。本シリーズ「シスターフッドと音楽」では、音楽家に限らず、あらゆる女性たちがどのように音楽に関わり、楽しんできたのかを、菫色的な世界観から辿っていく。毎回アーティストをお迎えし、その回のテーマから自由に着想した作品を制作発表して頂く。  ──時は18世紀、水の都ヴェネツィア。“最も清澄な共和国”は、石と水の幸せな融合により、ピクチャレスクな都市として人気の観光地。ルネサンス期から保たれた壮麗さと頽廃、重厚と軽薄、世俗

RIE EGUCHI|“永遠の転校生”が辿り着いた、菫色の音楽室

Text江口理恵  ♪初夏の風を感じる5月。  この度、モーヴ街6番地のブライオニー荘に入居させて頂きます江口理恵と申します。  “精神のシスターフッド、パンキッシュなアカデミー”を標榜するカルチャー・ソロリティ「菫色連盟」の一文に心を射抜かれ入会しました。  音楽好きが高じて長年レコード会社で制作ディレクターを務めた後、現在はフリーランスで音楽や翻訳の仕事をし、クラシック音楽とロック、文学・歴史を偏愛する者です。職業病で、何を見ても音楽と結びつけたくなる面倒な習性がある