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スマブラステージ【AD.2009.海上油田】

海上に建造された石油プラットフォームが舞台のスマブラステージです。

 ヘリポートにヘリコプターが着陸し、

 クレーンが貨物船のコンテナを引き上げるギミックを楽しめます。


・石油利用の歴史

 化石燃料は、太古の生物の死骸が地層の中で長い年月をかけて地熱と圧力を受けて変性したもので、このうち液状の油の形となったのが石油です。

 石油の存在は古代から知られていたものの、有毒ガスが発生しやすく、燃料としてはそれほど使用されていませんでした。

(温度の高低で液体から固体に変わる重油(アスファルト)が、建築用の接着剤やミイラの防腐剤として用いられてはいました)

 18世紀になると石炭(植物が変化した固形の化石燃料)を燃料とした蒸気機関と、魚油や植物油を使った照明が普及します。

 この時期でも、石油はあまり使われていませんでしたが、1847年にスコットランドのジェームズ・ヤングが石油を分留して成分を取り出すことで、有毒ガスを出さない灯油(ケロシン)を得ることに成功します。

 当時の照明用の油で、最も使われていた鯨油が、相次ぐクジラの乱獲で減少していたこともあって、石油灯油の需要は急速に増大し、世界中で油田の大規模な開発が始まります。

 1830年代に中央アジア・アゼルバイジャンのバクー油田の開発が始まり、1859年のアメリカのドレーク油田で、地中に埋まった石油を掘削機械を用いて掘り出す、近代的な油田が始まりました。


・ガソリン自動車の普及

 1879~1883年のドイツで、カール・ベンツとゴットリープ・ダイムラー、ヴィルヘルム・マイバッハが、同時期にガソリンエンジンを発明し、ガソリンで動く自動車が誕生しました。

 1908年にアメリカで、フォード・モーター社が自動車の大量生産、低価格の販売に成功し、自動車は移動、輸送手段として急速に普及していきました。

(マイバッハは硬式飛行船のエンジンも開発しました)

 ガソリンはそれまでは、原油から灯油を抽出した後の余り物として廃棄されていましたが、燃料として使えるようになったことで、石油の価値は上昇します。
 石油は液体なので貯蔵・移送が便利な上、発熱量が大きく、煤煙も少ないことから、世界のエネルギー源は急速に石炭から石油に置き換わります。

 兵器を動かす燃料である石油は国家にとって最重要の資源となり、1932年のチャコ戦争や1941年の太平洋戦争などは、石油の入手を目的に起きた戦争で、20世紀後半には産油地が多い中東で石油をめぐる紛争が多発しました。

 また、分留した石油から、合成繊維や合成樹脂(プラスチック)を作る研究も発展し、現代の暮らしは石油抜きでは生活は成り立たないまでになっています。

(最初の高分子プラスチック、セルロイドは、象牙に代わるビリヤード球の材料として開発されたものです)

 石油を埋蔵した油田は、陸上だけではなく海中にも存在し、1938年に海底の油田から石油を採掘するための建造物「石油プラットフォーム」または「石油リグ」が実用化されました。


・石油プラットフォームの機能

 石油プラットフォームは石油を採掘する設備と、作業員の生活スペースが組み合わされたものです。

 石油プラットフォームは、油田の種類によって形態が変わり、長期間使用するものは柱を海底に建てて固定され、掘削地点を移動する場合は、プラットフォームを海に浮かべて錨を下ろして固定したり、巨大な船に掘削装置を搭載して運用したりします。

 石油の採掘で一般的なロータリー方式は、やぐらからパイプを吊り下げて、パイプ先端のドリルで海底に穴を掘り、掘った穴をコンクリートで固めて補強しながら掘り進めて、原油を回収します。

 副産物として発生した可燃性ガスは、爆発事故を起こさないように、作業員へ熱が行かないように高い塔で焼却処分されます。
 これをフレアスタックと呼びますが、環境への悪影響を減らすため、最近建設された施設では、ガスの再利用が盛んに行われフレアスタックを行わない傾向にあります。


 作業員はプラットフォーム内で寝泊まりし、プラットフォーム補給船が、人員や物資を輸送します。

 補給船には、火災や石油流出に対応できるよう消火設備や石油除去設備を備えているものもあり、もしも補給船とプラットフォームがぶつかったとき、プラットフォームを壊さないように、船のサイズは制限されています。

 海が荒れて、船がプラットフォームに近づけない場合もあるので、プラットフォームには、よくヘリポートが設置されます。


 大型のプラットフォームは、クレーンまで含めれば、全高400~600mに達することもあります。(東京タワーが333m、スカイツリーが634m)

 地中に埋まっている石油を探し出すには、地道な地質調査、サンプリング、鉱業権申請が必要で、大きな油田は数十年がかりで、数千億から数兆円を費やして開発されます。

 また、様々な対策が講じられていますが、石油プラットフォームは火災や爆発事故、嵐による転覆の危険が伴う職場であり、石油の流出事故による環境、生態系へ悪影響を与えることもあります。

 こうした大きなリスクや乗り越えさせるほど、現代文明にとって石油は不可欠なものになっています。



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