スマブラステージ【AD.1938.古代魚】
1938年12月22日、南アフリカ、チャルムナ川沖のトロール漁船に、見慣れない不気味な魚がかかっていました。
漁師から呼ばれた学者の調べで、発見された魚は、6600万年前に絶滅したと考えられていた、古代魚シーラカンス目であることが分かりました。6600万年の間、古代の魚が姿を変えずに生き延びていたことに、人々は大いに驚きました。
シーラカンス目は、約3億6000万年前の古生代に現れた肉鰭類の魚です。シーラカンス誕生と同時期に、別の肉鰭類が陸上生活に適応して、四肢動物(両生類、爬虫類、哺乳類)へと進化しています。なので、シーラカンスは魚の中では、人間をはじめとした陸上四肢動物と近縁の魚となっています。なお、現在生き残っている肉鰭類は、シーラカンスとハイギョのみで、ハイギョの方が四肢動物に近いと言われています。
古生代から中生代にかけて、シーラカンス目は、世界中の海と淡水域に生息していましたが、6600万年前、地球環境が大幅に変化し、大絶滅(K-Pg境界)が起こると、ほぼ全てのシーラカンス目が絶滅しました。
しかし、地上と比べ、環境が変化しにくい海底では、シーラカンスは生き残り続け、現在ではアフリカのコモロ諸島産(1938年に見つかったもの)とインドネシア産の2種が確認されています。なお、シーラカンスの肉はとても不味いうえに、寄生虫が多くて健康にも悪いので、コモロ諸島の漁師からは「ゴンベッサ」(役立たず)と呼ばれていました。
19世紀、古生物の化石の発掘が活発に行われ、巨大な恐竜の化石が次々と見つかると、人々はどこか人目の届かない所に恐竜が生き残っているのかもしれない、と淡い期待を持ち、20世紀前半には、UMA(未確認動物、Unidentified Mysterious Animalの頭文字をとった和製英語)の目撃談が、その真偽を問わず、新聞やラジオ放送で取り上げられ、拡散していました。
1933年頃からイギリス、スコットランドのネス湖で、恐竜のような謎の動物「ネッシー」を目撃したという話が、多数報告されるようになり、1887年に、ヒマラヤ山脈で巨大な人型生物イエティの足跡が、1924年にはアメリカ、ワシントン州で同じく巨大な人型生物目撃のビッグフットが目撃され、これらはギガントピテクス(約30万年前に絶滅したとされる巨大なヒト科霊長類)の生き残りではないかと囁かれました。
恐竜時代から、姿を変えずに生き残っていたシーラカンスの存在は、これらの「〇〇の生き残り」系のUMAが存在する根拠として大いに活用されていました。