学マス曲、初印象で書く感想文−2
篠澤広(cv. 川村玲奈)-光景
ブラジリアンのエネルギー溢れるリズムの上にシネマティックなストリングスが優雅に流れて、まるでサウンドオブミュージックの世界観みたいだと思いました。その上に色んなアコースティック楽器が乗っかると思ったら、FX音も少なくない、すごく複雑なテクスチャな音楽です。こういうリズムワークはTAKU INOUEさんが作曲した、我那覇響のPON DE BEACHで感じたことがあったけど、この曲はもっとサウンドスケープを見せることに集中した感じです。篠澤広ちゃんの緩やかな声と相まって、この曲は前景と背景が一体化されています。美しい世界に足を運び、胸躍る少女の光景がこんなに美しく描かれました。
曲を解釈する時にはサウンド、作り方(ミックスやらそういう音作り)、曲の戦略、歌詞などを参考にタイムテーブルの上で位置付けをしてみたりするけど、その意味ではこの曲は過去と現在が共存する曲でもありました。美しいあの時、あれ?現在?みたいな。
これを機に作曲・編曲を長谷川白紙さんの音楽をちゃんと聴いてみようかなと思いました。
倉本千奈(cv. 伊藤舞音) - Wonder Scale
「光景」がかなり複雑なテクスチャだったというと、この曲はその面ではシンプルです。オーケストラを活用したエピックな音楽です。「光景」が前景と背景が溶け込んでいるように聴こえると話しましたが、この曲は前景、つまり倉本千奈のボーカルの輪郭が際立っています。ドラムがサビ前はキックスネアハイヘットで普通に進行され、サビ直前にストップ、そしてサビ入ってロートム(Low Tom)に切り替えることで、声のための領域をもっと作ってくれています。上手く歌おうとしているのではなく、ごく自然に等身大の女の子の声で歌ってくれています。サビでロートム用いることがJpopで多くなかった印象があったので、とても自分好みの編曲でした
紫雲清夏(cv. 湊みや) - Tame-Lie-One-Step
今回の学マス曲が全体的にそういう印象でしたが、サビがちゃっかり耳に馴染んできますね。安定的なハウスリズム、たまにトラップ(Trap)のリズムが入ってメリハリを付ける、歌もトリプレット、2文字でリズムを刻むところとかTrap、まぁ、もしくはKpopでよく使われる歌い方で今風ですね。ブリッジのドロップもTrapですね。結果的にHouseとTrapが良い具合でまじ合って軽快ながらもメリハリある音楽になりました。何せ、キックがもう強いんですよね。でも意外とこういう曲ってそんなに多くなかったりするんですよ。この曲はサビの印象を強く刻もうとする戦略も感じられて、トラック自体に目立つような強い個性は無いのだとしてもすごく良いバランスだと思いました。
2番に入るラップがすごく印象的です。その短いラップでどんな子か圧縮的に伝わりました。
花海咲季(cv.長月あおい) - Fighting My Way
学園アイドルマスターがリリースされてから始めて聴いた曲でもあり、それが良かったので他も全部聴くようになったんですよね。
Gigaさんの他の曲でもそういう印象を受けましたが、声を細かく刻んでリズム要素として活用するのがすごく気持ちよく聴こえます。こういう作曲さんの長所もあり、この曲は「今流行っているジャンルを取り入れよう」というわざとらしさが見えないのが、この曲がお気に入りの曲になった理由かも知れません。そういうわざとらしさが出る場合って、既存の流行りのジャンルのバウンダリーに囚われている場合が多いんですが、その窮屈さを全く感じませんでした。「君に見せたいの彼方の形式を」の高音が耳に残るポイントになるし、説得力を感じました。
これは勝つための、勝てる曲。最高でした。
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