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哈尔滨旅行记(ハルビン旅行記)①

 8月11日~15日にかけて、哈尔滨に旅行に行ってきた。


はじめに

哈尔滨について

 哈尔滨(ハルビン)は中国黒竜江省に位置する副省級市(※副省級市は中奥の地方行政単位(地級市)の一つ)で、豊かな自然やロシアの影響を受けた文化のある都市である。

 歴史は古く、人類が暮らし始めたのは2万年以上前だという。中国最後の王朝・清王朝の発祥の地でもある。19世紀末から20世紀にかけて中東鉄道の建設に伴い発展、交易都市として栄えた(下記「ハルピンの歴史」参照)。日本の近代史においては、伊藤博文がハルビン駅で暗殺されたことで有名である(他にも日本との関連史があるが、現在の立場上ここでは触れない、お察しください)。

1896年、露清密約により清がロシアに敷設権を与えた、満州を横断する鉄道。シベリア鉄道で迂回せずウラジヴォストークと結ぶ、ロシアの東方進出の大動脈となった。ロシアは1898年に租借した旅順・大連と東清鉄道中間点のハルビンを結ぶ南満支線の敷設権も獲得した。東清鉄道全線と南満支線は1903年に開業した。日露戦争後のポーツマス条約で日本は南満支線の長春以南の営業権を獲得、南満州鉄道として営業し満州進出の動脈とした。中華民国では中東鉄道(または東支鉄道)という。その後ソ連、中国、日本が営業権をめぐって争い、満州事変以降の戦争の要因となる。

東清鉄道/中東鉄道

 人口は1000万人をやや下回るが、日本の都道府県では2番めに人口の多い神奈川県よりも多い。ただ、かつて1000万人以上だった人口が、近年が減少しているようである。これは経済構造の問題により、就業のために人口が都市などに流出しているのが原因のようである(下記「人口減少が示す中国経済の近未来」参照)。

ハルビンの人口減少は、東北エリアの人口減少の縮図でもある。東北エリアでは近年、人口流出が深刻になっている。その原因には、気候のほか、近年、経済成長や就職などの問題による若者の大規模流出などがある。2021年の黒竜江省の人口自然増加率を見ると、マイナス5.11‰と、全国ワーストとなっている。

中国における「人口1千万人都市」に変化 武漢の人口増加幅最大に--pekinshuho

旅行の目的

 今回の旅行の目的は、端的に言えば涼しい場所に行きたかったからである。先にリンクを貼ったウィキペディアの「ハルビン市」の項目によると、8月の日平均気温は21.9度と、上海の25.6度(上海市 - Wikipedia)に比べて低い。また、降水量も半分以下である。
 哈尔滨という目的地は妻が決めた。

その他

 表記については、文章等の引用の場合はその表記をそのまま用いるが、それ以外については「哈尔滨」を用いる。日本語では「ハルビン」と「ハルピン」が混在しており(見たことはないが「ハルヒン」もあるらしい)、ピンインの表記は“haerbin”(四声省略)なので「ハルビン」となるのだが、満州語では「Ha(魚)erhpin(干し場)」が語源らしい(以下のリンク参照)。どちらを使うかの決め手を書いたので、中国語のままとした。

1日目

上海(虹桥国际机场)→哈尔滨(哈尔滨太平国际机场)

 午後から遊べるようにと朝早い便にした結果、5時起きで空港に行くことになった。上海には虹桥と浦东の2つの空港があって、前者は国内線、後者は国際線がメインらしいと聞いた。今回は行きは虹桥から乗って、帰りは浦东に帰ってくる予定。

安全検査場を抜けるとヴィトン
ロビーで休憩。めっちゃ広い
どこに行く飛行機だろう

 なお、飛行機での国内移動については別途以下に書いたのでよろしければ。

 ターミナルにあるレゴショップでかいパイロットと上海の名所・东方明珠塔がある。スペースの割に品揃えもよく、大型商品もそろっていた。

パイロット
东方明珠塔

 そんなこんなで上海から哈尔滨はおおよそ3時間半弱の飛行。午前の早い便ということで機内食が出た。ミートソースパスタ、パンそれからパックに入ったヨーグルト、煮た小豆(ぜんざいみたいな感じ)。どれも美味しい。特にミートソースはよかった。

機内食。中国の航空会社の機内食を食べるのは3回目だけど、どれも美味しかった。

 到着した哈尔滨は雨だった。荷物が出てくるゲートには電子公告板があった。名物のソーセージの宣伝では、湯気が動く細かい演出(写真なのでわかりませんが)。

バスの中から
荷物待ち
電子公告版
哈尔滨に来たら必ず食べるべし! とのこと
お部屋借りれます
何の広告だろう
(≧∇≦)b
空港から一歩外へ

 一旦ホテルにチェックイン。中心部から少し離れたところにある、ショッピングセンターと同じ建物の中にあるホテル。接客はとてもよかったのだが、後々部屋でちょっと困ったことが起こったがこれは後述する。

ホテルのロビー
ウェルカムなんちゃら
結構よいかんじの部屋だった
謎の置物
謎の置物
そう広くはないホテルで7階建て。エレベーターは1つ。

索非亚大教堂(聖ソフィア大聖堂)

 ホテルで一休みしてからは「聖ソフィア大聖堂」に。入った時はピアノコンサートが行われていた。建物内自体はあまり広くはない。

1907年3月帝政ロシアの兵士の軍用教会として創建された。日露戦争1904年明治37年)2月6日1905年(明治38年)9月5日)の終戦2年後にあたる。その後もロシアの茶商人などが出資し、拡張工事が行われ、1932年に現在の姿になった。
現在は教会としては使用されず、ハルビンの開拓期の写真をはじめ、絵画、教会堂などの模型が展示されており、観光名所となっている。高さ53.35m、建築面積721m2、ビザンチン建築の影響を強く受けており、平面がラテン十字形であり、約2000人が収容できる規模である。最上階の鐘楼には音の異なる7つの鐘がある。内部の壁は痛みが激しく、色褪せ所々剥落しており古色蒼然たる趣がある。窓ガラスにはステンドグラスは一切使われていない。レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』のレプリカなどが飾られ、豪華なシャンデリアは特に壮大である。

聖ソフィア大聖堂 (ハルビン) - Wikipedia
風船が引っかかってた
すぐ横はショッピングモール

哈尔滨博物馆

 そのあと哈尔滨博物馆へ。雑多ないろいろな展示が見られて、しかも無料という素晴らしい博物館。入場時には中国の身分証を自動開閉のゲートにかざさなければならないが、外国人は手書きで来訪者リストに記入の上パスポートを提示すれば入れる様になっている。
 が、私は妻が中国の身分証を持っているのがわかると、リストに記名することもなく後ろについて中に入っていいと言われた。切符を買わずに自動改札を前の人の背中にくっついて入っていくあの(?)感じである。履歴とか残らなくていいのかと思ったが、翌日もっとびっくりする事があった。それは次回。
(余談だが、中国生活では厳密さと適当さ臨機応変さに戸惑うことがたまにある。以前、高鉄で移動したとき、本来であれば改札で身分証の読み取りを行わなければ出られない(高鉄は事前予約すると身分証だけで乗り降りができる)のだが、混んでいたせいかゲートを素通りさせられたことがあった。データ管理上大丈夫なのか気になったが、多分どうにか処理されているのだろう……)

 一階は骨董・芸術品。無料のためなのか(?)作品の解説が貼ってあったりなかったりだったのが大変よかったです。

きれいな像だったのですが、上からの照明で……
特に脈略無く置かれていたレジマシン
天使

 四階は時計のコレクション。

古い看板

 三階は映像、版画等。

三階は写真NGだったので、唐突に置いてあった金魚のみ撮影。
展示とは一切関係なし。

晩ご飯

 閉館時間になったので、二階は翌日にして食事に向かった。中国の東北料理の、哈尔滨では有名なお店らしい。
 味付けはややしょっぱめでご飯やお酒に合う。辛い料理もメニューにはあったが、四川のようにどれも辛いというわけではない(東北料理については写真の後に)。私の祖父母は秋田の人だったが、なんとなく懐かしい味だった。ただ、これも聞いていたとおりだったが分量が多い。最初に頼んだスープに入った肉団子は想定したサイズだったが、後は思った量の二倍くらいの量が出てきた。特に燻製の盛り合わせは、これだけでもお腹いっぱいになる。

宴哈喽:外観がおしゃれ
もう少し寄りの一枚
店内の様子
中は街の様子が再現されていておしゃれ
テーブルの表示も凝ってる
哈尔滨啤酒
こっちのビールは度数が低くて飲みやすい
肉団子。スープも美味しい
燻製の盛り合わせ。1800円くらいでオードブルみたいなのが出てくる
たけのこと挙げたしいたけの炒めもの。
写真だと分かりづらいですが、大皿です。
有名な東北料理:锅包肉。
薄切りの豚肉に分厚い衣をつけて、甘酸っぱいタレをかけたもの。
美味しいけどこれも値段に見合わないほど大量に出てくる。

 东北菜(東北料理)は漢族の料理技術をベースに、満州やモンゴル、挑戦などの要素を取り入れたもので、多彩な食材や味付け、彩りなどが特徴とのこと。量が多く、豪快なのも特徴の一つらしい。有名なものとして、「东北菜的常见菜品有锅包肉、熘肉段、酱骨架、地三鲜、白肉血肠、雪衣豆沙、猪肉炖粉条、小鸡炖榛蘑、酸菜白肉、东北乱炖、扒三白、赛熊掌、杀猪菜等等。」等いろいろ挙げられていますが、全部食べようと思うと結構大変。ちなみに2日目の夜も東北料理を食べたが、これも量が多かった……(後述)。

 「お腹いっぱいになる」と言いつつホテルに帰ってから、横にあるスーパーでビールを買って飲んでこの日は就寝。

豪快な鮮魚コーナー
美味しそうな惣菜
m&mは中国で人気
ビールも多数
ロシアの愉快なビール
でかいビール

小まとめ

 雨が降っていたこともあって、哈尔滨はやはり涼しかった。車から眺める街の様子は、北京や上海のような大都市とは違うが整っていて美しかった(哈尔滨は計画的に都市づくりがなされていることを2日目に行った展覧館で知った)。
 車の運転はみんなワイルドで、隙間があれば車線変更が繰り返される。クラクションもあちこちから聞こえる。普段、上海の運転は結構荒いなと思っていたのだが、哈尔滨に比べればおとなしいものだと感じた。あと、歩行者も平気で赤信号を渡るし、信号のないところを横断していた。昔、私を連れた祖父が赤信号なのに大通りを渡って、祖母にめちゃくちゃ怒られていたことを思い出した。

 長くなるので二日目以降は別の記事へ。

2日目~

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