タイトル『見える見えない』

シナリオの練習です。拙い文だけどよければ見ていってね

〇 大学・教室内
   うとうとしながら講義を受ける則人[のりと]。周囲の生徒たちもほとんど眠っており、講義を聴いているのは則人と数人しかない状況になっている。 
山本先生「なのでこの場面では、、、」
   講義をする山本先生の声が段々と遠くなっていき、則人、机に頭を伏せて眠ってしまう。
涼子「おーい、また寝てたの?」
   チャイムの音と涼子の声で則人、目を覚ます。

〇  大学・食堂
涼子「山本先生の講義受ける人みんな寝ちゃってるけど、やっぱつまんないんだ?」
則人「なんというかな、眠たくなっちゃうんだよ、声が小さいのに話がゆっくり、話に勢いがついてきたなって思ったら授業に全然関係ないこと喋ってたりすんだぜ、聴いてて疲れるんだ。気づいたらチャイムの音、なんて何度あったことか。」
涼子「ふーん」
則人「履修登録取り消すのもめんどくさいし何とか一年は耐えようとは思ってんだけどな、、、」
   5秒ほど無言で昼飯を食べる二人。
   涼子、少し真剣な雰囲気で、
涼子「そういやあたしさ、なんかここ最近変なんだよね」
則人「変って、何が」
涼子「なんかね、窓の外に変な人?みたいなのが見えるの」
   則人、3秒ほど動きが止まり、あきれてため息をつきながら、 
則人「なに馬鹿な事いってんだ小学生ですらもっとましな嘘つくもんだぜ?」
涼子「そんなこと言ったって何度もみえるんだもん」
   則人、軽く窓の方を振り返って、
則人「じゃあなんだ?今でもその変なのは見えてるのか?」
涼子「いや…見えないけど…」
則人「だろ?見える見えない以前にそんなもの存在しないの、日々の疲れに気の迷い、そういったのが積もり積もってお前に幻覚を見せたの、ほら、夏休み前の大量の課題とかでさ」
   涼子、何かを考えるように黙ってしまう。
則人「今日は午後授業あるんだっけ?」
涼子「うん。あるよ」
則人「そうか、俺は午前だからお先に。涼子お前帰ったらしっかり休めよ」
涼子「だから疲れてるわけじゃないんだってば」
   則人、食堂をでる。
   涼子、ため息をついた後かばんを持って席を立つ。

〇 大学・教室内
   山本先生の講義を受ける則人。うとうとしながら講義を聴いていると、山本先生が窓の方向を見ながら話していることに気づく。則人も窓のほうを見てみるが何も見当たらない。全く喋らずに窓の方向を見ながら相槌をうつ山本。しばらくしてまた喋り始める山本
山本先生「なのでこのときには、、、」
   山本先生が喋っているが則人は山本先生が何度も窓のほうを見ることが気になって話が耳に入っていない。
じっと山本先生を観察しているとチャイムの音が鳴り講義が終了する。チャイムの音で周囲の生徒が目を覚ます。それと同時くらいに山本先生が教室を出る。則人、その様子を目で追い、立ち上がって先生の後を追いかける。

○ 大学、廊下
   則人、段々と先生との距離を詰めていき後ろから声を掛ける。
則人「あのー、先生」
   山本先生、則人のほうに振り返る。
山本先生「どうしました?授業でなにか気になるところでもありましたか?」
   則人、一瞬先生から目をそらす。
則人「いやぁ授業というか先生について気になるところがあるというか…」
   微笑む山本先生
山本「そういったことでも構いませんよ、何でも話してみてください」
   うかがうような感じで話す則人
則人「先生、授業してるときずぅっと窓の方向見て話してませんでした?窓のほう見て頷いたりするし、なんか、」
   一瞬黙る則人
則人「窓の外になにか、あるんですか」
   則人軽く笑って、
則人「なんて」
   山本、しまった、というような表情になる。
山本「ああ、いや、そうでしたか。いやすみません、そんなところをみられてしまっていたとは」
   少し考えた後、山本、則人を手招きする。不安そうにしながらも山本に近づく則人。
山本「わたしね、見えるんですよ」  
   唖然とする則人。
山本「翼の生えた人のような姿をしていましてね、愛称込めて妖精と私は呼んでいるんです。そして時折いろいろ教えてもらうんですよ」
則人「教えてもらうって、何を」
山本「大したものではないんですがね」
   緊張した様子で話を聞く則人
山本「たとえば、今日は家の近くのスーパーがセールをしてるよ、とか」
   ガクッと気が抜ける則人
則人「先生、それはさすがに幻覚の類いですよ〜っていっていつもは流してしまうものなんですが最近友達が似たようなものをみたって言ってきたもんで一概にそうだって言い切れないんですよね」
山本「あなたの友達もみえるんですか」
則人「まあ先生と似たようなこと言ってるような感じでしたけど…とはいえ信じてはいないですよ。実際自分の目で見たことがないし」
   山本、少し考えるようにして、
山本「じゃあ、あなたも見てみますか?」
   唖然とする則人
則人「え?」
山本「私が妖精をみるときにいつも行うルーチンのようなものがあるんです。私の場合は学校に行くときに決まった道を歩くと見えるようになりました。もしかしたらその友達は私と同じ道を通ったのかもしれないですね」
則人「なるほど…」
山本「あなたもこの道を通ってみてくださいよ。そんなに時間はかからないので」
則人「ホントに見えるんでしょうね」
山本「ええ、見えるはずです。その道の通り方は…」

〇 通学路
   スマホを見ながら歩く則人。ボソリとつぶやくように
則人「えぇっと、ここを通って…」
   木の生い茂った道を見つける則人。周囲の木を眺めながらその道を歩き進める則人。道を抜けると100メートルほど先に大学の校舎が見える。感心する則人
則人「へぇ〜」

〇 大学、教室内
   周囲がウトウトしている中真面目な様子で山本の講義を見ている則人
山本「ですからこのことについては…」
   窓の方向を気にしながら山本の視線を追う則人
山本「つまりこの場面は」
   動きが止まり窓を見る山本。その瞬間を見逃さずに則人も窓を見るが何も無い青空がみえる。しばらくショックそうに窓をながめたあと、教室に向き直ろうとする則人。山本はまだ窓を見ている。
妖精「だからいったでしょ妖精なんかいないって」
   驚いて窓を振り返る則人。窓には小柄で羽の生えた人のようなものが光を発しながらぼんやりと見える。
妖精「ウフフフフフフ」
   驚いた顔で窓を見る則人。そのあと思い出したように山本をみる。気づいた山本と目が合い、山本がニヤリと笑う。
   授業が再開するが唖然として何も手につかない則人
山本「なので最終的に…」
   書きかけのノートとペンを握った手が写る。
   チャイムが鳴って講義が終わる。眠っていた教室の生徒たちが目を覚ますなか、則人はぼーっと窓を眺め続けている。

〇 廊下
   則人のいる教室に向かう涼子。則人のいる教室から続々と生徒が出ていく。涼子が教室をのぞくと窓を見ている則人を見つける。

〇 教室内
涼子「珍しい、今日は起きてるんだね」
   涼子を見ずにつぶやく則人
則人「涼子…俺…見えちゃったよ」
涼子「え、それって、あのちっこい人みたいな感じの?」
則人「そう…」
   涼子、少し考えて、
涼子「これから私達、騒がしい授業になるかもね」
則人「ふふっ、なんだそりゃ…」
涼子「えへへ」
   笑い合う二人。
   

〇 廊下
   廊下を歩く山本。窓の方を見て喋りだす。
山本「あぁどうも。…おお、そうでしたか。今度彼らといろいろ話してみたいですね。ふふ…え、スーパーの総菜がセール?ちょっと急いで妻に連絡しないと…」
   廊下を歩く山本の後ろ姿が遠ざかっていく。
   


   


   


  
   
   

   


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