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聞きかじるロシアとウクライナ文学 

今年の2月からまさかという感じで始まったロシアのウクライナ侵攻、ニュースをずーっと聞いてても憂鬱になるが、恐ろしい事にあまりにも毎日報道されるのでもう麻痺してしまってる。
株価の上下のニュースと同じくらいの感覚で何も感じないのが本音、そんな中でも戦争が日常になっている国の人々とて、自分と同じ人間であると横っ面貼ったかたかれる様に気づかせるのは文学ではないのか?という青臭いことをふと考えるが、それを人に話すのは気恥ずかしい。と、いう誰に向けたかわからない自意識を軽やかに吹き飛ばしてくれた放送がある。

で、このポッドキャスト、TBSラジオ『アフターシックスジャンクション』通称アトロク、RHYMESTER宇多丸氏をメインパーソナリティとしたカルチャー番組、映画、音楽、漫画、ゲームなどとにかく文化系趣味全てをカバーしてやるぜという勢いで内容が多い番組で何か新たな刺激を受けたいときにさらうのに丁度いい。
今回は日本SF作家クラブ現会長の池澤春菜とロシア文学研究者、沼野恭子をゲストとしたアフターシックスジャンクションのロシアとウクライナ小説の紹介回。
池澤春菜氏は現役の日本SF作家クラブ会長で普段アフターシックスジャンクションに登場するときはSFや、変化球ミステリ特集などのエンタメ系のテンション高めの登壇が印象的だが、今回はテーマがテーマなだけに抑え気味に淡々と話すのが新鮮。
対する沼野恭子氏はロシア語翻訳も手がけている研究者。約50分程度あるが、あっという間に終わってしまいアンコールというか延長して欲しい軽快さ。
戦争をきっかけにした企画ではあるが、難しいニュース系の議論はなく、日々の暮らしに疲れているなというテンションでも安心して聞いていられるのも良い。戦争のニュースで食傷気味であっても友達の推しの話はなんとなく聞ける、そんなマジになりすぎない、でも企画の奥底に文学というか小説が持つパワーを信じている熱意もある特集で聞いてよかったなと思える50分だった。



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