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ワルシャワ冬日記 寺の病と氷の上のオオカミ 2025年1月26日

冬の滞在も残り1週間ほど、到着直後の体調不良や寒暖差疲労は治って久しいが、ここにきて別の問題が生じてきた。大変美しくない話題で恐縮ですが私は尻に少しばかり爆弾を抱えている。数年前、机にかかりっきりの修論執筆中に爆誕したそいつは時折「ここにいますよ」と存在の主張をしてくる。野菜不足、小麦粉と肉と油に偏りがちな食生活の弊害が鮮血とともに現れた。ちくしょう、ここにきて割としっかり切れやがった。ボラギノール持ってきといた私、正解。

座ると辛いのでベッドでうつ伏せになり耐えていたら夫がやってきて、どうしたのと問うてきた。爆弾が発動した旨を伝えると、「学部生の時、古代仏教学の教授に授業中この漢字の話されたのを覚えてる。あなた達も今後日本の寺に行くことがあったら、冬の寺の寒さに納得するでしょうって」…教授、何教えてんの。でも確かにそうだね、やまいだれに寺って書くね。意識してなかったわ。「患者のお坊さん多いんだろうねぇ」そうなのかもねぇ、と答えた時、脳裏に一つの光景が蘇ってきた。
私の母方の祖父は禅僧であった。夏休みの1週間、母の生家の寺へ行くのが恒例行事だったのだが、幼心にこれなんだろうと初めて目にした穴の空いた丸いふわふわのクッション、祖父の定位置の籐椅子に置いてあった。じいちゃん、患ってたのか…!脳裏で繋がった20数年ぶりの真実を夫に話して二人で突っ伏して笑いを堪えた。
ポーランド語では痔などの症状を「狼を捕まえる(Dostać wilka)」と言うらしい。座りっぱなしで血流が悪くなると発症するのが、冷たい氷の上に座っているオオカミのイメージと重なったのだろう。ところ変われば表現も変わる、言葉って面白いですね。
例がひどいな。



本日はWielka Orkiestra Świątecznej Pomocy(クリスマス慈善大オーケストラ)という、チャリティーイベントが行われる日で、テレビをつければ会場の中継や、他の番組でも出演者達が下のハートマークのバッジやシールを胸につけている様子を見ることができる。

画像:https://pl.wikipedia.org/wiki/Wielka_Orkiestra_%C5%9Awi%C4%85tecznej_Pomocyより

非政府、非営利の慈善団体が行うこの国内最大規模の慈善活動は1993年から開始され、毎年1月に開催。難病の小児医療や高齢者のケアなどを中心に、高価な最新の医療機器の購入を主な目的として募金活動が行われる。

Jerzy Owsiak という人物が立ち上げたこの取り組みは、理念として「公立病院に医療機器を提供することで、子どもたちの健康を守り、命を救う」と掲げられたように、当初は小児医療に特化したものだった。が、現在では高齢医療や災害救助のための設備購入も支援対象としており、過去には新生児の救命設備、ガン治療装置、心臓モニター、救急車などが購入された。近年は医療支援プログラムを運営するなど、活動は多岐にわたる。必要な物事に予算を回さない政府に対し、国がやらないのなら俺たち民間がやる、と実際にとんでもなく大きなことを成し遂げてしまうのはポーランドあるあるである。設立以来、数百億円規模の金額を集めてきたらしい。立派だ。運動は在外ポーランドコミュニティにまでおよび、数千人のボランティアが募金活動を行って街頭やオンラインで寄付を募る。
全国でライブコンサートやオークション、パフォーマンスが行われ、非常に賑やかなフェスの様相である。設立者のプロフィールを読んでみたら美大出身、音楽活動、ロックコンサート運営などという経歴だったので納得した。フィナーレと呼ばれるメインロックコンサートのビジュアルが毎年イカしてるなあと思ってたけどなるほどな。以下の動画で雰囲気を味わっていただけるかと。代表のJerzy氏が今年は何を買うつもりか、などを熱く語っておられます。



全く関係ないけどらくがき。
今朝の義父とトラ。ソファの割合が綺麗に1:9だった。義父、片方のお尻の半分しか乗れてない。

最近散髪に行ったらツーブロックの角刈りみたいにされて帰ってきた義父

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