思考のたび ガラス張りの宇宙の向こうで一人思考に潜る こぽこぽこぽと音を遠くに聞きながらただただ潜る 内臓をさらけ出した 腸をかき回した グチュグチュと音がする 蛇口から出ている抽象的な水と共に腐っていく へその緒が見えた 私は掴まなかった へその緒は漂っていた 透明な青いカーテンの向こう側に誰かいる それは私だった それはあなただった 私の背中の向かい側 わたし達は背中の熱を分け合っていた 宇宙は広かった 私と
日向で影踏み 夏休み くるくると回るコインランドリー 君の影が大きく見えた 僕は君に追いつきたくてあくびをするふりをして 背伸びした 青空の中のひまわりはそんな僕を知らんぷりして 追い越していく ラムネを一口含んだ シュワシュワと解けてく その音はこの夏の味がした ラムネ越しに見るきみはビー玉よりもキラキラと光って見えた 君と僕の影が重なった 顔の暑さは夏のせいにした
夜明け前が一番明るい あなたのはらはらと落ちる涙は星の形をしていた 夜空のあたたかい色をしているブランケット 君と私を抱きしめてくれた 暗い夜空はどこまでも明けなくて 胸がきゅっとつまってしまうけど 明けない夜の中で星の道を辿っていくの そう笑って2人で一筋の夜明けを見つめた じんわりちかちか灯をともしているそれは私の心臓だった
起承転結のない日常にまみれ 私達は汚れていく 電車の中のうたた寝 いつの間にか溶けてたアイス 夕日が差し込む教室 君と過ごした日々 ひとひらの花びら ひらひらと落ちるように 私はどんな日々でも愛でてしまう 愛でてしまうのね 戻らない日々 戻れない日々 起承転結のない話に呑まれ 私達は転がってゆく 誰かの子守唄 上手くいかない今日も 雨が降る明日も 君はいない ずっといない 嘘つきな花びら 私はそんな君でも愛でてしまう 愛でてしまうので浴槽で解けた線香花火のように やがて
皮膚に針を通す 少し痛い 糸を交差させて とても痛い 糸をくぐって 空白 縫い合わせ 終わり 糸を手繰り寄せて 糸をくぐってみせて 糸を変えてみて 糸糸糸糸糸 糸を巻き戻してみて 糸をダンスさせてみて 糸を引っ張ってみて 糸糸糸糸糸 糸をちぎってみて 胎児のへその緒絡まった
こういう絵を後で油絵で描いていくの楽しみ
入院中油絵は使えないので水彩で作品の前スケッチをしました。水彩苦手だけど絵を描くってやっぱり楽しい。
歪んだ私の空白は透明な頬に染み付いて 死んだ私の人生は埃の廊下に横たわる ぱちぱち燃ゆる線香花火 浴槽の底に解けて消えた どくどく泳ぐ血管は 心臓の痛みに泣いていた 淀んだ私の水槽はカルキの匂いが沈んでて 荒んだ私の呼吸はきっと線路で轢かれてなくなった 人生に名前をつけるならそれは私の名前だろう 私の空白 私の人生 私の これの続きは読めなくて終わりを表す3文字も煤で汚れて見えないままだ よろしければ感想などよろしくお願いいたします
自分の肉体と自分の中の心というものが解離して 境界線が膜のように剥がれ落ちはらはらと空中をただよっている 無重力の中で私は星を見上げる 星とは記号のようでいて個々がしっかりとできている物の名前なのだろう 私はこれからどこへ行くどこへ流れ着く この無重力の中で一人私は何を感じて何を食べるのだろう うーん難しいな難しいことを考えると重力が恋しくなってしまう ここには誰もいない 静かな夜だ
周りが全部急に記号になって自分がそこにいないような感覚になった 信号を渡る時のように過ぎていく時間の中で 記号一つ一つがどんどんどんどん追えなくなっていって 私はずっとその中を霧で立ち込めている森の中を 歩く人のようになりながらかき分けて、目と耳とを澄ませるようにした 周りはずっと記号のようで私だけが人間のようだった 疎外感が波のように押し寄せてくる グラスにいる金魚だけが新鮮でぴちょんと音を立てて跳ね上がった 金魚だけが音を立てることを赦され生きていることを赦され
誰かに意味もなく植え付けられた悪意や、劣等感、私が私に植え付けた憂鬱や言われてもない悪口の妄想に今日も耳を傾ける 「それ」はやがて夢から醒めて、種子を撒き散らし、腕を伸ばして心臓に根を張る 巻き付いて取り憑いて離れてくれない 見えもしない触れもしない「それ」は心臓が鼓動を鳴らすたびに確かに成長していくのだ
片羽根の蝶々が何も無い空間に一人佇んでいる それは私の空白だった 惨めに一つしかない羽を広げうずくまっている 外は雨が降っているようだった 片羽根の蝶々は自分がここにいることしかできないことを悟る 片羽根の蝶々は葉脈のような羽を静かに 視線で一つ一つ辿っていく ドクドクと確かに存在している それは私の心臓のようだった 片羽根の蝶々がなにもない空間で一人佇んでいる 外の雨はまだまだ止まないようだった
ドキドキズキン ドキドキズキン 貴女に愛を求めるなんて間違ってる間違ってる くだらないまやかしごっこに根っこまで浸っている ドキドキズキン あなたの心臓に中指立てた 貴女の愛はまちがってるって 脳細胞と脳感覚はぐちゃぐちゃになって試験官の中で漂っている ただ酔っている ドキドキズキン ドキドキズキン あなたとへその緒繋がってるときからわたしへの愛は分かっていた わかっていたはずだったのに どこで狂ってしまったんだろうな この愛は咲き乱れて先に乱れて 列を
白の部屋の夜光窓 まだまだ夜は明けないねと 角欠け羊が囁いてくる アルコール滲んだ宵の月 私はくらくらと漂う夜の金魚のように 酩酊感のある夢に梯子を掛けて跨るのだ ある時は薄い羊膜に包まれてみたり またある時は蝶になってみたり 蛹にこもってみたりを繰り返す この長い夜の中で オキシドールの香りとともに しめやかな夜は過ぎていく
朝日を滲ませたカーテンが朝焼けとともに 僕を暴き出していく こっちへ来ないでと願うけど それでも朝はやってくる 息を殺してひっそりと生きているのだが 勝手に僕という形骸は息をしてしまうようなので 困ってしまう 丸い丸い月に手を伸ばした 輪郭がぼやけて何も見えなくなっていった 届かない君に声をかけてみたら 輪郭が滲んで霞んでしまった 君を見ようと目を凝らした 君を見ないように目をぎゅっと瞑った 僕は死にものぐるいです 息を殺しながら息をし続けている 夜が遠のいていく
君はできないできないこ 君はいらないいらないこ 不幸は猫を殺すから 君はどっかへ行っちゃえよ 私わかんないわかんないこ 迷子の迷子の誰かさん できないできない言われたら どんどん手足が重くなる 外が全然見えなくて 夕暮れさえもわかんないの お家の場所も忘れてさ 夜の闇の中歩いてる 君はできないいらないこ お家はどこなの 黒い影 お家の場所がわからないの みんな帰るのがおうちだよ 私のお家はあそこじゃない あそこは息ができないの 自分の居場所を見つけなさいと黒い影 で