秋空に残された夏の思い出 #シロクマ文芸部
懐かしい風景を見ている。
遠い記憶。
どのぐらい昔になるのかな。
まだ父も母も元気だった頃の思い出。
九月に入って二週間ほど経った日曜日。どんなに仕事で疲れていても、娘のわがままにつき合ってくれた父。
そんな父娘の姿を勝手口から覗き見しながら、昼食の準備をしている母。
まだ少し陽射しがきつい中、たらいに水をタップリと張って、庭でつかまえた小さなアマガエルとオモチャのカエルを私は泳がせて楽しんでいる。
大海原のようなたらいの中で必死に泳いでいる。たらいに映る夏雲