元女子ラグビー選手の私が「タグラグビー」の魅力を探る!
2024年が始まり3週間が過ぎました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?年末年始は忘年会や親戚の集まりなどが多く、ついつい箸が進んでしまう。最近になって正月太りが気になり始めた。そんな悩みを抱える方は少なくないのではないでしょうか?
さて、今回は正月太りを楽しく解消できちゃう「タグラグビー」を紹介したいと思います!
「ラグビー」と聞くと身体と身体がぶつかり合う激しいスポーツというイメージがあると思いますが、ラグビーの楽しさを残しつつ性別や年齢を問わず誰でも安全に楽しめるスポーツが「タグラグビー」です。
タグラグビーは1990年代初頭にイギリスのデボン州で考案され、1996年にイングランドに留学していた仙台大学・勝田隆が持ち帰ったことが日本の起源とされる比較的新しいスポーツです。2005年にはサントリーカップ第1回全国小学生タグラグビー選手権大会が開催され、2008年には小学校学習指導要領の体育(運動領域)でタグラグビーが教材として導入されるなど、タグラグビーに触れる子供たちの機会が増えて来た背景があります。安心・安全を求める昨今の風潮に呼応するようにタグラグビーの普及は進み、全国の小学校におけるタグラグビー実施率は62%を記録しています。また、日本全体のラグビーを統括する競技連盟「日本ラグビーフットボール協会」もタグラグビーの普及活動に力を入れており、教員向けタグラグビー講習会やタグラグビーセットの貸し出し、タグラグビーの普及啓発ガイドブックの作成・配布に取り組んでいます。そして当協会は三井住友ファイナンシャルグループ(SMBC)などを協賛とした「SMBCカップ 全国小学生タグラグビー大会」も主催しており、子供たちに広くタグラグビーを伝えようとする姿勢が窺えます。
子供たちだけではありません。童心に帰ってタグラグビーを楽しむ大人も増えています。幅広い年齢層を対象にタグラグビーを実施するクラブや親子揃ってタグラグビーを楽しむことが出来る親子体験型タグラグビーイベントなどが全国各地で多数見受けられます。
私自身も幼稚園〜小学生時代にタグラグビーをしていました!幼稚園生の頃はお母さんが隣に居なくては泣き出してしまう程 手のかかる子でしたが、幸いなことに私が通っていたのは子供と大人が一緒にプレーできるようなタグラグビークラブだったので、安心して毎週通うことが出来ました。お陰様で「タグラグビー」をきっかけに「ラグビー」にも夢中になることができたので、とても有難い環境だったと振り返ります。
では、「タグラグビー」の魅力とは一体何なのでしょうか?
ラグビーとの共通点と相違点に着目して、タグラグビーの魅力を探っていきたいと思います!
まずラグビーとの共通点についてです。
ラグビーでは、独自の特性を維持していくために競技の仕方や振る舞いを規定した「ラグビー憲章」が掲げられています。この憲章の中には、ラグビーに関わる全ての人々に共有すべき5つのコアバリュー(価値観)「品位・情熱・結束・規律・尊重」が示されています。前回の記事で「タックル」について触れましたが、一歩間違えれば暴力になり兼ねないタックルはコアバリューを備えた選手たちのもと、正当なプレーとして成り立っています。ラグビーにおけるタックルには、故意に相手へ怪我を負わせようとするのではなく、ルールに従った上で自ら身体を張りチームに貢献しようとする選手たちの熱い思いが込められています。
一方タグラグビーでは、相手の腰の左右に垂れる「タグ」と呼ばれるテープを取ることがタックルに相当します。タグラグビーでは攻めてくる相手を止めるにも、ボールを奪い返すにもタグを取らなくてはならず、取ったタグは「手渡しで返す」という掟があります。もしも、選手たちに上記のコアバリューに対する理解がなかったらどうでしょうか?グラウンドのあちこちにタグが投げ捨てられ散らばっている、無秩序な状態が想像できると思います。このようにタグラグビーはラグビーと同様、ルールを守り仲間だけでなく相手をも尊重する誠実な姿勢を大切にするスポーツであることが分かります。
もう一つの共通点としては「多様性」が挙げられます。
ラグビーでは、1番から15番まで各ポジションに求められる役割が異なります。大柄で力強いけれど足が遅い選手、小柄だけれど俊敏で足が速い選手、判断力に優れ人を活かすことが得意な選手など十人十色です。それぞれの個性を尊重し互いに補完し合う、まさにラグビーは「みんなちがって、みんないい」を体現しているスポーツであると言えます。
一方でタグラグビーにも「多様性」が見られます。タグラグビーにはラグビーのような細かいポジションは存在しませんが、老若男女一緒になって楽しみながらも、本気で競い合える所に多様性を大切にする精神が見られます。幅広い層の人たちが「生涯スポーツ」として一緒に楽しめるというところに魅力があります。また、国籍や言語の違いを越えて仲間になれる点は、ラグビーとタグラグビーに共通する「多様性」であると思います。
次にラグビーとの相違点についてです。
ラグビーはコンタクトスポーツであるのに対し、タグラグビーはノンコンタクトスポーツであることは言うまでもなく、タグラグビーには「安心・安全」が確保されています。コンタクトプレーが無いということは「争奪」が発生しないと言い換えることが出来ます。争奪の有無は安全性を左右するだけではなく、プレーの「継続」にも影響があります。タグラグビーにおいてはコンタクトプレーによる激しい争奪が無いため、相手にタグを取られるか、パスやキャッチのミスをしない限りは攻撃側の有利性が保たれます。たとえタグラグビーに不慣れな選手がボールを持ったとしても、走る爽快感を存分に味わうことが出来ます。つまり、タグラグビーは経験の有無に関係なくあらゆる人が楽しめるスポーツであると言えます。
一方でコンタクトプレーによる争奪が特徴的なラグビーでは、ラグビー経験が浅い選手は相手のタックルに圧倒されボールを奪われてしまう場合が多く、必然的にボールを持って走れる時間も短くなってしまいます。即ち、ラグビーは経験が浅い人にとっては楽しみづらい形態となっていることが窺えます。
以上の比較からも明らかなようにタグラグビーはラグビーの醍醐味を残しつつ、ラグビーにはない面白さを秘めてることが分かります!
皆さんもまずは、ラグビーボールに触ってみることから始めてみませんか?
ラグビー経験が無くても大丈夫です!タグラグビーは何歳からでも始められる開かれたスポーツです!
この記事を読んで少しでも「タグラグビー」に興味を持っていただけたら嬉しいです!最後まで読んでいただき有難うございました。