【エッセイ】なんでもかんでもハードル上げすぎ問題
遥か昔の中学時代。足が遅いくせに何を血迷ったか陸上部に入部した。
「もしかしたら足が速くなるかもしれない」なんていう期待がなかったといえば噓になるが、神は私に一条の光も与えなかった。どうやら私は走り方がおかしいらしく、皆の輪から離れた場所で、ひとりぼっちの“正しい走り方を習得するための訓練”を指示された。一向に改善の気配が見られなかった私は、部の顧問にも早々に匙を投げられることになる。
足が速くなりたいなんてもう望まないから、せめて目立たない走り方で生まれたかった。いや、こ