4.おばばの地雷
おばばの死後、初めての姉とのランチ
何度も二人でランチかお茶をしようと誘ったのに
断り続けた姉から誘いがあった
指定場所に行くと姉の横には変なバッグを抱えた義兄が控えている
もう嫌な予感しかしない
指定されたイタリアンの店で
とりあえず当たり障りのない話をして
食事が終わってコーヒーが出てくる頃、
おもむろに持っていたバッグから茶封筒を出す
封筒はやけに堅苦しく封の部分に割り印などがついてある
もう後頭部がビリビリするほど嫌な予感が的中する
義兄が私に封筒を渡し、開けて中身を確認してくれという
私が、開封するものを持っていないので
店の人にハサミを借りようとすると
姉が眉ハサミなら持っていると言って差し出す
小さっ!!
短いハサミを使ってやっとのことで開封する
義兄が読んでみろと言うので読んだところ
母の全財産は姉に譲るとある
姉に何かがあった時にはその子供たちに譲ると書いてあった
全財産って?
同居してわがままで気の強い女帝の
世話をしてきた私達家族にはびた一文残さないって事?
意味わかんない!
そしてその後、義兄がシャシャリ出てきて
バッグから取り出したクリアファイルの中の書類を
次々と出して説明を始める
それでいいかと聞かれて我に返る
それでいいかと聞かれても即答できるわけないじゃん!
とりあえずその書類の写メを取っていいかと聞いてスマホで写真を撮る
今すぐ決められないと言って返事は保留にする
あり得ない!
だって父が亡くなった時に、母に相続の書類だからと判を押さされたのは
財産放棄の書類だった
よく読んで判をつかなかった自分が悪いのだが
自分の親に詐欺られたようなものだ
母が生きている間は固定資産税など母が払ってくれていたからそれも
良しと思っていたが今更そりゃないぜ
そうだ!居住権というものがあるではないか!
兄に居住権というものがありますよね?と聞くと
「そんなものはない」と一蹴
とりあえず家に帰って夫に報告しなければ
しかし公正証書遺言とは!
ショックだった
遺言を義兄が取り出したあたりから姉は
ずっと下を向いて無言だった
姉は知っていたのか?
知っていてずっと知らないふりをしていたのか?
その時はいかにも初めて見たような顔をしていたがそれは演技?
だとしたら人間不信になってしまう
暗い気持ちで家路についた