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アスペルガーの娘に生まれて19

受験当日の朝、早めに起きた。宿泊していた小平の叔父の家から1時間弱。西武新宿線に乗り新宿で乗り換えて大学に向かった。初めての東京は空がどんよりと暗く、今にも雨が降り出しそうだった。
教室に入り、自分の番号の席に座った。
頭な中には、母が言った

大学に受かっても行かせてあげられない…

という言葉がぐるぐるとエンドレスでまわっていた。

試験開始の合図で名前だけ書き、白紙の答案を提出し、すぐに部屋を出た。

馬鹿らしい。受かっても行けないのに、受かる必要なんてない!!

外に出ると、雨が雪に変わっていた。そのうちに吹雪いてきた。
心配になった。帰りの飛行機は大丈夫だろうか。飛行場に電話をすると、その日は全便欠航とのことだった。
仕方なく、叔父の家でもう一泊することになった。次の日、私より7つ上の従兄がディズニーランドに連れて行ってくれた。

担任の教師に結果だけ報告すると

お前は落ちるような成績じゃないんだけどなあ…

私は無表情でその言葉を流した。



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