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3つのお題 即興小説12 気狂いダンス

 こんにちは。この間投稿した「イマジナリーフレンド」という小説を

https://note.com/bright_murre477/n/ne6a764ec7d2c

コニシ木の子さんにまた紹介していただきました。ありがとうございます。

 今回投稿するこの短編もよくわからない話なので #なんのはなしですか  のタグをつけさせていただこうと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いします。

 ある所にある国がありました。その王様はよい統治者で土地も豊かだったので、民はいい暮らしをしていました。ただ、彼の息子はとてもわがままでやりたい放題だったので、王様はその事で頭を悩ませていました。

 ある日のこと、その日は王子の誕生日だったので、お城でパーティーが開かれました。有力者や位の高い者達は招待され、大勢の者が集まりました。
 みんなが王様と王子にお祝いの言葉を述べ、広間で舞踏会が行われました。楽隊が音楽を奏(かな)で、みんなは円になって踊りました。王と王子は玉座に座り、皆が踊るのを見ていました。

 王子は退屈そうにしていましたが、ふとニヤリと片方だけ頰を動かして笑いました。それを見て、王は嫌な予感を覚えました。彼は何かよからぬ事を思いつくと、いつも片頬だけで笑うのです。
 王子は突然椅子から立ち上がると、大きな声でこう言いました。

「この中で、踊りの1番上手な者を私の妃にしよう!」
 王は驚きましたが、賓客(ひんきゃく)たちも驚きました。けれど、娘たちは色めき立ちました。王子に認められれば妃になれるというのですから。
 彼女たちは競って踊りはじめました。みんななかなかの腕でしたが、王子は楽隊に合図をし、曲のテンポを徐々に上げました。音楽は速くなっていき、1人また1人と脱落し、誰もついていけないのではと思われました。

 けれど、唯1人だけ黒っぽいドレスを着た者が、すごい速さでくるくると独楽(こま)のように回りながら踊っていました。あまりにも速いので、どんな布の服を着ているのか、どんな顔なのかも判別できません。
 王子はその様子をしばらく見ていましたが、やがてパンパンと手を叩いて演奏を止めさせました。すると、彼女はぴょーんと高く飛んだかと思うと、スタッと広間の真ん中に降りて止まりました。シーンと静まり返った後、割れんばかりの拍手が周りから湧き起こりました。
 その人は息一つ乱していません。とても美しい顔をしていましたが、今まで誰も彼女を見た事がありませんでした。

「とても素晴らしい踊りでした。この中であなたが1番上手なようですね」
 王子がそう言うと、彼女はドレスを両手でつまんで膝を軽く折り
「お褒(ほ)めに預かり光栄です。謹(つつし)んでお受けいたします」
と答えました。
 王子はつかつかと彼女の側へ寄り、跪(ひざまづ)いて手の甲にキスをしました。

 そうして2人は結婚しました。けれど、それは災いの始まりだったのです。
 彼女は悪い魔女でした。暇つぶしに王子の誕生会に紛れ込み、魔法を使って姿を変え、踊りも上手くなっていたのです。彼女は王子にあれこれ言って、好きな食べ物をたくさん集めさせたり、その国では採(と)れない宝石を欲しがって遠くの国へ家来を行かせたり、言いがかりをつけて兵隊達を隣の国に攻めさせたりしました。
 そんな風に周りの国と仲違いをさせ、王子は周りの忠告を聞かずに彼女の希望を全て叶えようとしたので、いつも争いが絶えず、その国は次第に衰退してとうとう滅んでしまいました。

 何もかもなくなった後、魔女は正体を表して
「おや、もう終わりなのかい。まあ暇つぶしにはなったわい」
と、箒(ほうき)に乗ってどこかへ去ってしまいました。
 それ以来、その地方では舞踏会は開かれなくなったという事です。

 以下の三つで即興小説を書く
「玉座」
「円」
「音楽」

  了


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