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誰でも書ける!事例報告の論文化


はじめに

私は大学で卒業論文を書いたこと以外では、全く論文に触れてきませんでした。

そんな私ですが、4年目に論文を書き始め、5年目にして無事に論文が採択されました。

そこで感じたことは、「意外と論文は誰でも書ける」ということでした。

語弊があると思いますが、新規性や希少性があり整合性がとれている事例報告であれば論文は採択されます。

私の経験を備忘録も兼ねてシェアしようと思います。

最初は事例報告がおすすめ

日々の臨床を言語化することで思考が整理されたり、先行文献を調べることで周辺知識が身についたりすることで臨床スキルが大幅アップします。

また、研究論文と違って統計が必要ないので敷居は低いからです。(笑)


論文執筆に必要なもの

私の場合、以下のものが必要でした。

  • 論文に挑戦する意思

  • 先行研究の情報収集

  • ジャーナル選び

  • 事例の情報をまとめたもの

  • 論文を指導してくれるメンター(共著者)

  • 参考文献(書籍)

  • 忍耐力

順番にご紹介していきます。


【論文に挑戦する意思】

何と言っても一番大事だと思います。

私も論文と聞くと敷居が高く、大学院などレベルが高い人だけが書くものだと思ってました。

しかし、実際はそんなことはなく、しっかりと書けば誰でも論文を出せることがわかりました。

そのため、論文を書きたい人は臆することなく挑戦していただきたいと思います。


【先行研究の情報収集】

新規性が無ければありきたりな事例となり、論文化されることはできません。

事例を介入している最中、または介入終了後に、実践した内容が先行研究(事例報告)と比較し新規性や希少性があるかを検討します。

ゼロから新規性を出すことは初学者には困難であるため、既存の症例やモデルから+αの介入をすることで新規性や独自性が出せると思います。

<私の場合>

  1. クライエント中心の可能化のカナダモデル(CMCE)を用いた事例を論文化しようと決める。

  2. CMCEは日本で使用した事例報告が1つしか見当たらなく、希少性があると考えた。

  3. それに加え、マズローの欲求段階という視点を盛り込んで独自性を出す。


【ジャーナル選び】

代表的なものを挙げると、

  • 学術誌作業療法

  • 日本臨床作業療法研究

  • 都道府県士会の機関誌

があります。

人間作業モデルの事例では作業行動研究、作業科学の事例では作業科学研究というように、使用している作業療法理論に特化したジャーナルもあります。

また、ジャーナルがオープンアクセス(J-STAGEなど)であるか、紙媒体だけであるかも選択の基準になります。

自分の事例報告がどのような属性であるかを確認し、各ジャーナルの要綱を吟味し投稿先を決めましょう。


【事例の情報をまとめたもの】

基本情報は後からでも収集可能ですが、事例の評価や状態の変化、語りなどは詳細に記録しないといけません。

OTの事例報告では本人の語りが重要となってくるので、事例の語りを日頃から詳細に記録することをおすすめします。

基本情報やカルテをコピーし、時系列にまとめておくことでスムーズに書くことができます。

※コピーした情報は漏洩しないように厳重に保管しましょう。特に、カフェなどで作業する際はコピーしたものを紛失しないように注意してください。


【論文を指導してくれるメンター(共著者)】

誰でも書けると言っても、一人で仕上げるのは論文初心者にとっては非常に困難です。たぶん無理です(笑)

そのため、論文を添削してくれるメンターを探すことが一番大事だと言えます。

メンターは職場の先輩や、学校の先生などが候補に挙げられます。

身近にそのような方がいない場合は、SNS、勉強会、学会などで知り合った方に相談してみると良いでしょう。積極的にSNSや勉強会に参加することで人脈を自然に増やすことができます。

私自身も勉強会で知り合った方が指導してくださいました。

また、メンターをしてくださる方はご厚意で行ってくれることがほとんどなどで、感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。


【参考文献(書籍)】

考察を書く上で、参考文献は欠かせません。

主に先行研究や書籍から情報を引用します。

書籍は作業療法の専門書やジャーナルなどがあります。

専門書の中には高額な本もあるため、差し支えなければメルカリで購入することをおすすめします。


【忍耐力】

最後は精神論になってしまいます。

論文執筆は先行きが長く、「ちゃんと書き切れるのだろうか・・・」と不安に襲われます。また、不採択になる覚悟もしないといけません。

やっと論文を投稿しても、査読者から何回も修正依頼を出されることもあります。

私も心が折れそうになりましたが、絶対論文を出したいという気概があったので、諦めずに何度も修正を繰り返してようやく採択にたどり着きました。


おまけ

私が論文執筆にあたり参考にした書籍をご紹介します。

全てのOTに必携の本です。巻末の事例報告は非常に参考になるので、ぜひご参照ください。


こちらはOT向けではありませんが、基本的な医療論文の書き方が詳しく記載されています。論文の作法を学ぶには最適の一冊です。


まとめ

最初は事例報告の論文がおすすめ

論文執筆に必要なものは

  • 論文に挑戦する意思

  • 先行研究の情報収集

  • ジャーナル選び

  • 事例の情報をまとめたもの

  • 論文を指導してくれるメンター(共著者)

  • 参考文献(書籍)

  • 忍耐力


私もまだまだ勉強中なので、ご指摘やご教授いただきましたら幸いです。

少しでも論文執筆の参考になることを願っております。


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