嫁の悩み
ある日、私は悩んでいた。
「どうしようねぇ」
近くにいた旦那が顔を上げる。
「どしたの嫁ちゃん。悩んでるの?」
私は神妙な顔でうなずいた。
「嫁の悩み。深刻な悩み」
「あれ、そうなの?」
旦那が不安そうな顔をする。
能天気な私が悩む事が、珍しいからだ。
私は、冷蔵庫の前で溜め息をついた。
「そうなの。踊っちゃうくらいの悩みなんだ」
「それ、大して悩んでないでしょ…」
まあ、そうとも言う。
「いやぁ、夕飯どうしようかなーと思って」
「ささやかな悩みだね」
いや、日々の献立って、かなり大変な悩みなんだが…
冷蔵庫の残り物、食材の消費期限、栄養バランス、一食分の価格…
献立ひとつと言えど、考える事はたくさんあるのだ。
だから、たかが献立と侮ってはいけない。
嫁が献立に困っていたら、そっと手を差し伸べるのが、良い旦那。
世間の旦那さん方、そこんとこよろしく。