NO.040 浜田晋介2022・23『探求 弥生文化』上・下 雄山閣
今回は浜田晋介著『探求弥生文化』上(2022)、『探求弥生文化』下(2023)をご紹介。
目次は上が
Chapter1 人文科学の学説 研究史を理解するには何が必要か
Chapter2 研究方法と社会 どのような理論で結論を導いてきたか
Chapter3 土器の理解 土器は何を表すのか
Chapter4 土器の研究法 土器研究は何をめざすのか
Chapter5 石器と金属器 何時から金属器を使いはじめたか
Chapter6 弥生農業 水稲と畠作をどう理解したか
Chapter7 弥生文化の枠組み 研究者はどのように考えたか
で、下が
Chapter 1 論争とは何か―論争の機能と構造とは
Chapter 2 弥生土器規定論争―弥生土器は古墳から出土するのか
Chapter 3 弥生竪穴論争―弥生の竪穴は住居か
Chapter 4 ミネルヴァ論争―縄文と弥生の関係とは
Chapter 5 文化伝播・変容論争―弥生文化を作ったのは誰だ
Chapter 6 弥生戦争論争―戦争の証拠は何か
となっています。
論文を書く時にはまず対象分野の研究がどこまで進んでいるのかを確認する必要がありますが、このような研究史をまとめた本は概要を知るうえで重宝します。
しかも著者の浜田晋介氏は関東生まれの関東育ち。勤め先も関東の大学ということで、著者が意識しているか否かは不明ですが、従来西日本に研究の核であった弥生文化に対して東からの視点で研究史をまとめてあることが大きな特徴といえます。
ただ、具体的な指摘はしませんが、所々に「おやっ?」と思う箇所もあり、この辺りは次の研究のネタになるところかもしれません。著者も原典にあたることの大切さも指摘しているので、気になる箇所は原典確認をお勧めします。
そういうところもありますが、個人の力で弥生文化全体的に研究史をまとめたことは頭が下がる思いです。かなり文献を読み込まれたものと思います。また、本書はもわりと平易な文章で書かれており、一般の方でも読み進めることができるものです。
とりあえず弥生文化研究を志す人や現在やっている方は必読・必携の一冊といえそうです。僕も遅まきながら最近購入しました。
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