Happy Soul prefecture

東京サヴァイバーという小説を書いています。 時折、18禁判定が付与されているような代物です。

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マガジン

  • 東京サヴァイバー(18禁

    後藤くんと岸くんが送るちょっとHなBL風ほのぼのゲームライフ 時折、18禁判定が付与されてます。 マガジンの見出し画像は𝕏nii_ottoさんへの有償依頼。 フル画像は私の𝕏でどうぞ。

  • 火と華の国

    戦国風小説全八話

  • 意地の悪い猫

    猫が死ぬ話 二話

  • Tokyo Supper Dinner

    東京サヴァイバーのストーリーの外側の話とか、登場人物の紹介等

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【東京サヴァイバー】プロローグ 日本文化の源流

桜、富士山、そして浅草寺。 日本を訪れようとする外国人がまず目を通すであろうパンフレットやガイドブックの表紙に描かれているのは桜、富士山そして浅草寺だ。 浅草寺。 瓦葺に朱の柱、大きく雷門と書かれた大提灯の両側に据えられた神とも悪魔ともつかない恐ろしげな二体の立像。東京に降り立った訪日外国人がまず最初に触れることになるオリエンタルでエキゾチックな日本、東洋的異国情緒が味わえる日本というのが先ず浅草寺なのだろう。浅草寺は訪日外国人の中でもっとも有名な「日本」なのだ。 日

    • 第四十六話 蔵井戸のスパーテクニクーで一瞬でイッてしまう崎谷くん

      小田が恐る恐るにゆっくりとドアを開けると崎谷が横から手を伸ばし「さっさと開けろよ!」と乱暴にドアを押し開いて部屋に入って行く。 小田は今ならまだ「オレは帰ります」と言ってあの黒服を追いかければ何とかなると思いたかった。だが不思議と分かる、それは無理だと。蔵井戸さんか誰かがそれを許可しない限り俺はここから出れないだろうという事が分かる。いや、ここで俺は何一つ自分の意思で自由に出来ることなどないという事が分かる。それは崎谷も同じだろうという事が分かるんだが、崎谷にはそれが分からな

      • 第四十五話 小田くんが大麻でラリって寝ゲロかまして死にかけてます!

        「崎谷、どこへ行くんだよ」 小田は全ての指がおられた痛みと怒りに震え歩く崎谷に声をかけたが言葉は返されず崎谷はいびつな左手を押さえながら進んで行く。 「崎谷!」 「うるせえ!来たくなきゃついてくんな!」 「どこへ行くんだよ、病院か?」小田は左手の指を全て折られた崎谷が心配だった。自分にはどうすることもできないが放っておくこともできない。 「こんな夜に病院なんか開いているわけねえだろ!」崎谷が叫ぶ。 「ならどこへいくつもりだよ、とりあえず冷やそう、な?待てよ」小田は自販機でミネ

        • 第四十四話 山井那奈には救いがない!

          「リューさん、カッコよかったなあ・・」 那奈は一人呟いた。 もう何日寝ていないだろうか。那奈はもう眠ることが無くなっていた。 睡眠というのは休息であり癒しだ。 だが那奈にはもう癒しも休息もない。使い古されバッテリーの弱ったスマートフォンの電源がいつの間にかシャットダウンしているように気を失うだけだ。そして僅かに充電されるとまた人知れず起動する。 気絶していたというのは何となく分かる。組んでいたはずの腕や、膝に乗せていたはずの手がダラリと垂れているからだ。 気絶していたことは理

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        【東京サヴァイバー】プロローグ 日本文化の源流

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        • 東京サヴァイバー(18禁
          47本
        • 火と華の国
          8本
        • 意地の悪い猫
          2本
        • Tokyo Supper Dinner
          2本

        記事

          終、忍の半蔵

          封魔の双頭、小太郎は不敵な笑みを浮かべる蜥蜴と睨み合う。 どう逃げるつもりだ。弟の大子郎も異変を察知し構えた。 蜥蜴は不敵な笑みを浮かべたまま立っている。 蜥蜴の盗みの技がどういった物なのか小太郎はそれを見たことはない、だがそれがいかなる技であろうと封魔の双頭を前にしているのだ、逃げ果せるわけがない。 だが蜥蜴は逃げるどころか一歩踏み進めた。 小太郎は蜥蜴が向かってくるとは思っていない。 蜥蜴は信康様との御目通りの後なのだ。刀や苦無、寸鉄すら帯びていないはずだ。 そうか。小太

          ¥100

          七、蜥蜴の尻尾と双頭の封魔

          関を西に越えた京の都。 京を南に坂ノ国も越えたところに若山と言う国があり、そこの黒山に一匹の獣がいた。 名を中蔵と言う。 中蔵は流れの一匹獣でどこからか来たのかを知る者はいない。 そもそも流れ獣に興味を持つ者などいない。若山の黒山の頭目はもちろん中蔵などと言う獣を信頼することは無かったがそれは全ての獣同士がそうだ。 何れにせよ中蔵は若山の黒山に居つくことになった。 銭と飯以外に繋がりなどなく信頼などない黒山でもさすがに流れの獣の扱いは他に劣る。中蔵は黒山の中でも特に陽の当た

          七、蜥蜴の尻尾と双頭の封魔

          六、外道の剣

          半蔵は茶碗を手に怒り震える様の陽下将軍を見てかけがえのないものを失ったことを知った。 「巴様・・・いや、陽下将軍」 「将軍の位衣はそないに温いものですか」 「無礼な!!」陽下将軍は茶碗を半蔵に投げつけた。 儂と団子の串を皿に並べた巴様はもうおらんのや。ここにおるんは将軍様か。 大殿、半蔵は今、四つの蔵を満たしましたわ。 四つの蔵を満たした半蔵は今ここに人に成り得た。 大殿が遂にはこの国の戦火を消し均しこの国を去る船に乗る時、それを見送ったのは半蔵ただ一人だった。 大殿は誰

          五、御楽子団子

          関西の忍びである中蔵は首を納めた箱を手に西国に残る最後の横八華、坂ノ家当主信康公のいる大坂の地へと向かっている。 背に受けた傷が痛み足取りは重いが首にかけた六文銭がより重い。 中蔵は初めて信康公の前に膝をついた。 信康が配下である石川が首箱を開け中身を改めた。 「間違いござりませぬ」石川が信康に耳打ちすると信康はにやりと笑った。 「中蔵、面を上げい」 そう言われ中蔵は更に深く頭を下げた。 「許す」そう返され中蔵は顔を上げた。 中蔵は初めて信康を前に面を上げたがそれでも視線を

          四ツ蔵の半蔵

          半蔵が今までに口にしたことが無いほどに旨い牡丹鍋。 あまい脂の猪肉。 それは猪を飼い米を食わすことで出来るらしい。 「猪に米を食わすんか?」 半蔵が驚きを口にすると高田は事も無げに言う。 「稲を刈ってな、中秋を過ぎた頃にもう一度、田に水を張っておくと冬前の刈られ後に細稲を実らすのじゃ。これも米は米じゃがな食うには難いからの、それを猪に食わすと脂が増え実に旨く育つのじゃ」 「はぁ猪に米を食わすんかぁ」 たしかに、この牡丹鍋は今までで一番旨い鍋だった。 味噌ではなく黒蜜を足した醤

          三、猪鍋奉行

          四ツ蔵は、あの醜悪な大黒がかしこまり、その横に物言わぬ人形のように据え置かれたリンの姿を思い浮かべた。 「いや、それはアカンて…」四ツ蔵は思わずそう呟きながら身を乗り出した。 「将軍と居を同じくするか!!」 陽下将軍が目を血走らせるかに怒りを露わにし、すでに空となっている茶碗を手に掴み振り上げた。 リンと高田が反射的に手で制した。 「母様!」「陽下様!」 既で陽下将軍は茶碗を投げつけるのを思いとどまった。 つい身を乗り出した四ツ蔵の手が畳に触れていたのだ。 「すんまへん……

          二、半身の半蔵

          薄い半纏を羽織り植木鋏を手にした一人の老人が広く枝葉を拡げる黒松や梅に桜といった庭木、鉢に植えられた皐月や銀杏の盆栽を剪定していた。 だがその仕事はとてものんびりしたもので一枝を一寸落とすだけで四半刻も悩むので一向に進まなかった。 老人の名は四ツ蔵と言う。 四ツ蔵のいる屋敷から遠く離れた所を畑仕事を終え籠を背負う百姓がその孫達に引っ張られる様に家路についていた。 百姓は四ツ蔵の姿を認めると深々と頭を下げ、百姓の孫たちはそれを見て四ツ蔵に大きく手を振った。 百姓は孫たちを諫め

          二、半身の半蔵

          一、幽世の剣

          そこにいた全員が、数十人分の肉塊に目を奪われていた。 とても見るに堪えない光景だが、目をそらすことは出来なかった。 死体。ではなかった。あまりにも凄惨なその光景はそれらが元は生きていた人間だとは思えないほどのものだったからだ。 血の流れる音もなく死を拒絶しようとする断末魔も絶えた静寂の中で漂い始めた死臭だけがそれらがただの肉塊ではなく人の死体であることを主張し始めていた。 爺さんが一振りの刀を手に佇んでいた。 いつもの陽気で剽軽な顔ではなく、心底疲れ切ったような表情で手にし

          意地の悪い猫 後編

          何一つ見落とさないようにと近所の道路を見渡しながら歩き続けた 見つけることも見つけないことも安堵にはならないのだがやはり杞憂であってほしい このまま探し続けても何も見つからず家に戻れば数年過ごした家ではなく庭の草むらの奥で大事に子供を守っている親猫の姿があって欲しかった しかし見てしまった 道路脇の植え込みに半ば隠れるように黒猫が横たわっていた 進みたくなかった だが見ないわけにはいかない 逃げてくれと心の底から懇願しつつ歩み寄った あれは野良猫だ、足音に気が付き次の瞬間

          意地の悪い猫 後編

          意地の悪い猫 前編

          客先の倉庫で荷物を降ろしているとどこからか「ニーニー」と小さな泣き声がした それは倉庫の奥の片隅にいた、まだ目も開いていない生まれたばかりの子猫の声だった 倉庫番は「朝にはもういた」と言う 親猫に見捨てられたか、もしくは親猫が先に死んでしまったかは分からないがいずれにせよ戻ることはないのだろう 倉庫番は子猫を助けてやるつもりはないようだったがゴミ箱に放り込むのを死ぬまで待ってやる程度の温情は持ち合わせていた 別にこの倉庫番を酷いやつだと思うことはないが子猫を引き取ることを申

          意地の悪い猫 前編

          第四十三話 良い音が鳴る指の鳴らし方

          チンピラ二人が明らかにこっちに向かって歩いてくる。 一人はトライバル柄のタトゥーを見せつけるように右腕をまくっている。背丈は岸より少し上、後藤より少し低いと言ったところか。もう一人は岸と同じくらいだろう。年齢は二人ともこちらよりだいぶ下だ。20代、おそらく前半だろう。歩き方、肩の怒らせ方、タトゥーを見せつけるかのように腕を振る様。全てが幼い。 後藤はキーをシリンダーに差しエンジンをかけ怯えた様子でトラックの窓を下げた。 シフトレバーを握りクラッチペダルを踏みこんだところでチ

          第四十三話 良い音が鳴る指の鳴らし方

          第四十二話 太陽軒

          「なにか食いに行こうぜ」 信号でトラックを止めた後藤が言った。 後藤が珍しいことを言ったので岸は少しばかり驚いた。 「佐川のじいさんのアレでだいぶ時間取られたし、今から晩飯作るのもなぁ」 岸は本のページの端を少しだけ破り折り込むとを本を閉じダッシュボードに置いた。時間はもう18時を少し過ぎていた。確かに佐川が死んだことで和さんの店で刑事に事情聴取をされだいぶ時間を取られた。あの渡部という年かさの刑事は終始とてもにこやかで「申し訳ないですけど・・・」と言った口調を崩すことはなか

          第四十二話 太陽軒