忘備録の始まり
ここに何かを書こうと思ったことの発端は、去年の初夏に父が亡くなった事が大きな理由です。
大好きだった祖母も兄弟同然に育った従兄弟も亡くなりついには父も亡くなり私の幼少期を知る人間が少なくなりつつあるのがどうにも物悲しく遣る瀬無い気持ちになったからです。
今は限界集落気味の山間部の集落に生まれ
実家を出るまでの私の幼少期の記憶が、このまま私だけの中で生きて、私が忘れれば全て無かった事になるのがものすごく悲しかったのです。
母は田舎の例に洩れず嫁として子供を取り上げられひたすら外に働きに行くだけの人でしたので、母もまた性格上それを良しとしていたような所もあり特段母親との思い出があまりありません。
なので私は実質祖母と父に育てられました。
因みに今の母親とは仲が悪いとかではありません。普通です。新米が出れば私を呼んで米を持たせてくれますし良い距離感で付き合いはあります。
反抗期にはそれはそれは母とは仲違いをしてましたが…
たまにみんな生きていた20年前に帰りたいな、あの頃は楽しかったな。もっと色々みんなでやりたいことがあったな。と思うことがありますが戻った所でまたあの順番で色々あって一人また一人と亡くなって行くのを見送るのはつらいのでやはり今を精一杯生きるしかないのだと気が付くのです。
父が亡くなってから、ふとした瞬間悲しくなってみたり、
何処かの田んぼの焚き火の匂いを嗅いだ時ひたすら泣けて来たり、
夕日を見ても思い出が蘇り、草むらのキノコを見つけてはもうこれがなんのキノコか聞ける人がいないと焦燥感に襲われたり、
ホームセンターで実のなる木の苗が半額で売りに出されていたのを見つけても、あぁ…喜んで「次はここの場所にこの木を植えたい」って言ってくれる人はもういないのだと、
なんだかこの世に誰も居なくなったみたいな絶望的に打ちひしがれたりと私の心がなんだかだいぶ騒がしく大変に疲れます。
なので気持ちの整理をするため私だけが覚えている記憶の中の父や祖母を文章に出すことにしました。
なのでこれは私のための、私が気持ちに一区切り着けるための忘備録です。