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自己紹介 Vol.2
【自己紹介】
はじめまして。私は現在、仏教僧として活動しながら社会福祉法人にも勤めています。ここでは、私がどのような人生経験を経て仏教やスピリチュアルケアに関心を抱き、今の道を歩んでいるのかをお話ししたいと思います。
1.20代:夢と挫折
映画学校を卒業し、映画監督か舞台監督を目指していた20代。劇団四季の演出部に採用されて、ついに俺も舞台監督だぁ!と、嬉しかったです。(当時は社員として演出部を採用していました)。しかし、実際は、照明部に配属されて照明係として舞台を照らす日々でした。
それでも自分は舞台の仕事が好きだし、これしかないのではないかと思っていました。さらに、同じ夢を語り合っていた親友を失い、自分の才能のなさを痛感しながらも、劇団四季の社員としての身分にしがみついていました。
今でも、あのまま四季にいたら舞台監督になっていたかもしれないと、ふと考えることがあります。実現できなかった夢っていつまでも諦められないところがありますよね。
2.30代:不思議な夢とブッダとの出会い
ある日、不思議な夢を見ました。
山の頂上に寺院があり、私はそこを目指して黙々と登っています。やがて前方から下りてくる人物がいて、私はすれ違うときの挨拶をどうしようかと考えながら、できれば顔を合わせたくないと思い、うつむきながら進んでいました。すると、その人物が近づいてきたのです。白い布を身にまとい、右肩を露わにし、その肩には小さな鷲のような鳥が乗っていて、じっと私を見つめています。思わずゾッとした瞬間、まばゆいばかりの光を感じました。あとで振り返ると、夢の中で私は「神々しい」という感覚を初めて味わっていたのです。
友人にその夢の話をすると、「手塚治虫の『ブッダ』を読んでみれば?」と勧められました。そこで実際に読んでみたところ、私の見た人物がシャカムニ・ブッダそのものだと感じ、ショックを受けました。
その頃、私は結婚し、妻が友人から譲り受けた雌の子猫を「ナナ」、コンビニの前で拾った雄の子猫を「タオ」と名付け、2匹の猫が生活の中心となりました。
3.40代:剃髪と仏教への道
40代になると、禅宗系の単立の寺に就職し思い切って剃髪、僧侶となりました。最初は仏教についてほとんど知識がありませんでしたが、学んでいくうちに惹かれるようになっていきます。ただし、禅宗の坐禅は厳しく、あるお坊さんに「禅宗は成り切ることだよ。全てがそれに尽きる。自我を捨てればだ……」と言われ、その言葉が深く沁みました。
妻から「大学で学んだらどうか」と勧められ、学費も支援してもらいつつ清掃の仕事をしながら、浄土宗系の佛教大学の通信教育部に7年間通い(留年しました)、仏教について体系的に学びました。
4.50代:さらなる修行とペットロスの経験
佛教大学を卒業した後、今度は真言宗系の大正大学大学院に進学。同級生のお寺で得度・修行を経て、本山にて教師(住職)資格を取得しました。
そんな折、愛猫ナナが20歳で、タオが21歳で相次いで旅立ってしまいました。実はペットロスという言葉もまだよく知らない頃で、妻は体調を崩し、私自身も小学校6年生で父を亡くして以来の深い悲しみに打ちのめされました。
5.ペットロスとスピリチュアルケア
2016年、妻と2人で日本ペットロス協会・人間・動物関係学院で故・吉田千史先生のペットロスパラカウセラー養成講座(半年間)を受講し、ペットの死が飼い主に与える大きな喪失感について学ぶ機会を得ました。
ペットとの別れは、日常の彩りや心の拠りどころを失うほどの大きな悲しみであり、個人差も大きく、言葉にならない感情に長く苦しむことも珍しくありません。しかし、スピリチュアルケアの視点を取り入れることで、ペットが与えてくれた優しさや喜びを再認識し、その存在が心の中で生き続けると感じることができるようになります。
思い出や写真、香りといった五感を通じて亡くなったペットとの絆を味わうことで、悲しみだけでなく愛情や感謝の気持ちが強まり、それを家族や友人、専門家と共有しながらケアを受けることが大切です。さらに、儀式や追悼の場を設けることによって、ペットへの愛を形にし、現実的な区切りをつける助けにもなると学びました。
こうしたスピリチュアルケアの考え方は、仏教の理念にも深く通じるものがあります。私は、仏教の教義や実践がペットロスの悲しみを乗り越える大きな手がかりになるのではないかと考えるに至りました。
6.結び
現在、私は仏教僧としての活動を続けながら、社会福祉法人にも勤務しています。これまでの人生で学んだことや経験したことをもとに、人や動物の命と向き合い、少しでも心のケアに役立てればと願っています。
私の自己紹介は以上ですが、同じような経験をされている方や、仏教やスピリチュアルケアにご興味のある方がいらっしゃれば、ぜひお話をさせていただきたいと思っています。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。