ボーダーライン

先日、散髪をした。
最後に床屋へ行ったのはコロナ禍前。
外出を自粛していたこともあり、散髪のタイミングを完全に逃して
気づいたら全盛期の金八先生のようになっていた。
ちなみに私は男である。
いい加減手入れが面倒になり切ることにした。
ロングヘアーを毎日手入れされている方々には本当に頭が下がる。
だってものすごく大変なんだもの。
髪型に関わらず、普段何気ないことでも目に見えない手間が
かかっていることを忘れてはいけない。
公園の緑も道も建物のトイレも誰かが綺麗にしてくれているのだ。
行きつけの床屋を持たない私は自分で坊主にすることにした。
そうすればいつでも自分のタイミングで誰にも気を遣うことなく
髪を切ることができる。しかもかかる費用は電気代だけ。
ただし床屋が嫌いなわけではない。むしろ好きだ。
今はそういう時期なのだ。
バスタブに新聞紙を敷き準備は完了。バリカンのスイッチを入れる。
アタッチメントは外してあるので5厘だ。
バリバリと音を立てて髪が刈られていく。
数年の伸ばした髪は、ものの15分で私のものではなくなった。
得るために長く時間がかかるが失うのは一瞬である。世の常だ。
こうして私は生まれ変わったのだが、一つ問題があった。
以前から感じてはいたが、所々髪が薄くなっている。
若くないのである程度は覚悟していたが伸びるにつれ差が目立つ。
簡単に説明すると前髪が後退しているのではなく
フロントとサイトの一部がまだらなのだ。
今まで見て見ぬフリをしていたが、これは現実と向き合うしかなさそうだ。
おそらく週1で散髪をすれば目立たないので、一旦はそれでしのぐ予定だが
「自分は違う」と思っていたことの当事者になることは
決して珍しくないと改めて感じる出来事だった。
もし髪が薄くなったらスキンヘッドにしようと以前から決めてはいたが
ショックが全くなかったかというとそうではない。
同じ立場になって初めて人はその人の気持ちに近づくことができる。
ただ気にしても仕方がないし前向きに考えるしかないので
これはこれで楽しもうと思う。
ちなみに半ば自虐的に母と姉に写真を見せたところ反応は真逆で
「生えてくるから大丈夫」と「やべーなwww」だった。
しかも「眉毛が変」「服がダサい」と関係ない部分までディスられる始末。
優しさにも色々な形があるので広く受け止める心が大事ですな。

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