THE FIRST SLAMDUNKを観た!(映画感想)
ネトフリで出てたTHE FIRST SLAM DUNKを視聴しました。いやあ、これは凄いねー。
「あの、山王戦」を、宮城くんの半生や家庭も交えた初見なストーリーを主軸に再構築した、というシロモノ。CoCo壱や町の整骨院、中華料理屋で幾度となく読んで胸を熱くした「山王戦」。私のように知っている方はもちろん楽しめるし(あのシーンもあのシーンも、あの試合のラストカットもありますぜ!)、そして宮城くんとミッチーのかつての「本人らも覚えてない邂逅」もゾワっとしたし、山王戦のその数年後(?)の、アメリカでの後日譚にも、鳥肌ものでしたわ。
スラムダンクはアニメもありましたよね。当時は「ジャンプの人気漫画のアニメ化」で、そりゃもう王道スポーツ漫画風だったのだけども、今回はそんな要素は極力省かれてまして。実際のバスケの試合を見ているような、リアルな選手の動きと、ボールの動き。体育館のドリブル音や、得点時のネットの揺れと「ファスッ」というゴール音など、「分かってるね!!」な心憎い演出も100点満点!スポーツ漫画特有な「不自然なスローモーション」やアップや効果音もなく、「スポーツ観戦」に近いスピード感。セリフもコート上でのやり取りを絶対に逸脱しない、(スポーツ漫画特有の「これでもくらえー!」的な絶叫シュートセリフなんて一切無し)ボリュームとテンポ。ゲームなんて殆どしないが、最近の「リアル」なスポーツゲームに近い雰囲気すら帯びているのではないだろうか。(そういや、プレイ中のロック調のBGMも、今思えばゲーム的ではあったかも)
宮城くんの内包するストーリーや感情もセリフで表現するで無く、表情や手、象徴的なモノ(バッシュやリストバンド)で物語るのは存分に映画的であると思ったし、そういう「静」の部分で物語り、「動」の試合の部分でより映画に没入させるのは「上手い!」とも思ったわけです。これは、紛れもなく井上先生でしか出来ない「進化」であります。「スラムダンク以降」の井上先生の作品クオリティの高さは間違いないのですが、そんな漫画作家にまで登り詰めた井上先生が、あの時代の「週刊少年ジャンプ」というしがらみから自由になって改めて「スラムダンク」を見つめ直し、映画にとどまらず「現代のあらゆるエンタメをも飲み込み再構築」したら、という壮大な「もしもシリーズ」の、最高得点であり最適解だとも思うわけです。はい。
結果、スラムダンクに触れていた昭和平成のジャンプ民も、スラムダンクを知らないバスケファンも、一部スポーツゲームファンも勿論映画ファンも、みんな納得の内容だと思いました。
バスケットボールを取り巻く環境としてはスラムダンク連載当時は、アメリカドリームチームバンザイな時代で、スター選手といえばマイケルジョーダンやマジックジョンソン、シャキールオニールやデニスロッドマン、ユーイングなど。日本はバスケでいえばまだまだ後進国で、オリンピックの話題なんて箸にも棒にもかからなかった時期だったと思う。
時代は変わり、田臥選手のNBA挑戦から、ステファンカリーの登場と、その影響によるNBAのメインの戦術の変化などありつつ、八村選手や渡邊選手などNBAで大活躍する日本人選手も出現。そういう意味では井上先生の描いた世界に、ようやく現代が追いついた形となる。
わちゃわちゃ申し上げましたが、スゲーもの観た。これに尽きる。。