「勘当だ!」のその先にある、ネバーエンディング相続問題。
住宅会社に勤めておりまして、お客様のお家の建て替えや新築を建てる、というお話の際に、いざ登記情報を確認すると「土地の名義が曽祖父の代から変えられていない」「ご実家の建物の名義が数代前のまんま」といったことが立て続けにありました。※名義変更しなければ、住宅ローンを利用できませんし、この先土地を売ったり、建物を建て替えたりも出来ない。
で、司法書士の先生と共に、さながら「リアル版ファミリーヒストリー」的にその物語を紐解いていくと、何代も前の次男だか三男だかがアウトロー的な道に足を突っ込んで、半ば勘当的にご実家を飛び出したが為に、その後の消息が分からない。。そのアウトロー家族は歴とした相続者なので、消息がつかめなければ名義変更が前に進まない!!みたいなケース。田舎の相続問題あるある、らしい。
私が関わったこれらは、お孫さんの代で家族総出で、時間と労力を費やしてなんとか解決に持っていくことが出来たのですが。。司法書士の先生曰く、「解決するのはまだまだ幸運なケースで、全く糸口が掴めないケースもザラにある」らしい。側から見ていた私からしても「家族にしたらたまったもんじゃないな。。」という感想でしかありませんでした。
家族といえど、人と人。言い争いやイザコザで「勘当だ!」とかはあるかもですが、せめて連絡先くらいは親戚の誰かに伝えておくとか、全く本家とのラインを無くすと、後々多大な迷惑と損害を発生させることになりますので、勘当/絶縁したい方は、ご用心!!
その当時のモメてる家族当事者同士の諍い(いさかい)が、時を経て「相続問題」となってしまう。勘当された当人は、本人の自覚の有無関係なく、相続者。勘当の際に、望まざる事を正式に、「相続放棄」という形で表明すればいい!と思うが、現行法では生前に相続放棄は出来ない仕組みらしい。めんどくさ!※結局、お互い「向こうが謝ってきたら。」なんて思いつつ、周りの家族親族も「頑固なお父さんも、いつかは折れるだろう」なんて淡い期待を持ちながら待ってたら、ハッピーエンドを迎えるどころかまだ見ぬご子孫達にとんでもない「ネバーエンディング地獄」を味合わせることになる。
そうそう。勘当→相続放棄をもっと楽にわかりやすくできる仕組み、必要かもですね。(勘当に絡まない相続放棄も。)家族と金輪際関係を持ちたくない!という方も一定数いらっしゃるでしょう。仕組みや枠組みのせいで見たことも聞いたこともないご先祖の土地や建物、はたまた負債を引き受けることになる理不尽さ。どうかしているシステム側のほうにも問題があるのではないかとも思う。
家族ってなんだ?!家ってなんだ?!そのあり方がどんどんと様変わりしている現状に対して、「でも、法律はこうなってるんですよねぇ」では、誰も幸せになれない。「家族って、めんどくさっ!!」って、こういう現状を見ると、つくづく思う。
家を取り巻く日本の法律が「古き良き日本の家族像」を元に、美化/象徴化されすぎてて、なんだか現実のそれとはかけ離れた物に成り果てていやしないかしら?夫婦別姓や共同親権問題なども、さまざまなケース、さまざまな考え方に対して法律の部分がコミット出来ていないところが根本だったりしません?大袈裟かもしれませんが、「家族になることの不自由さ/理不尽さ」などの「ハイカロリー要素」も、若年層が結婚を躊躇する原因になってませんかね?
自分が死んだら我が家の土地、どうする?建物は?墓はどうすんべ?お仕事を通じてでしたが、身近にそんなことを体験したからこそ、「体が動いて、頭がクリアなうち」に、ちゃんとやっとかないとね、と、とても身につまされたのでした。