見出し画像

街路チャンネル・岩橋さんの回を見て思ったこと(感想文)

街録チャンネルの、元プラスマイナス岩橋さんの回を観た。

何というか、心がギュッと締め付けられた。若い頃から抱える「チック症候群」と、「強迫性障害」を抑え(というか、何とか必死に帳尻を合わせ)ながら病と闘い迎えたM-1敗者復活や、プライベートの不安や絶望に、見ているこちらも心が痛む。彼が住んでいた芸能界は、間違いなく彼にとっては「安住の地」ではなかった。残酷にもテレビ側は、果ては彼の「病」までも面白がり、彼に「ビジネス・チック」(チック症候群をショウアップして面白く仕上げたもの。番組側から求められて、岩橋さんなりに「これやっときゃいいんやろ」的に披露してた、擬似発作。)を強いる。そのことが、より彼と病の関係を拗らせ、より複雑化させた。

その頃の彼は、客観的に見れば仕事も順風満帆。漫才も評判で将来を有望視されてた、矢先の出来事だった。ある日、彼の理性が飛び、そしてキャリアが破綻した。
例の、Twitterでの暴露と、事務所退社とコンビ解散。

それでもその頃を振り返り、岩橋さんは「もはや限界であった」と。

頭で考えれば「自分の言動が異常で、全てを破壊しかねない事」だとは分かるが、強迫性障害が、そんな理性をも吹っ飛ばしたのだ。彼は「爆発した」と表現している。

強迫性障害。彼に言わせれば、「全て終わらせてしまいたい」「自分なんて破滅してしまいたい」という欲求や映像が浮かんで、頭の中心から離れなくなる。そういった「やってはいけない事」への衝動が、我慢できなくなるらしい。その「爆発の日」は、韓国に徹夜でカジノに行って帰ってきて、「相当に疲れていた」らしい。

そして、いまは離れて暮らす実の娘に対しても「大切だからこそ、自分の病が発動して、もしかしたら自らの手でどうにかしてしまうのが、本当に怖い」と自らの胸中を語る。

三谷さんのアドバイスや返しに、少しずつではあるが岩橋さん自身が顧み、思い返して納得する場面も見られて、少しずつではあるがいい方向に進んでいきそうなエンディングであった。

でも、岩橋さんの置かれていた状況や抱えていた絶望に何も応えていなかった環境こそが、今回の一件を招いたとも言える。ここまで曝け出さないと、到底、他の人に理解なんて出来ない。

当の私も、岩橋さんの例の一件は、これを見る前までは「酔っ払ってSNSで色々と暴露したのが原因」だと認識していた。岩橋さんの病は知っていたが、それとこれとは無関係だと思っていた。だって、彼は芸人さんとしても面白かったし、彼が時々見せるチックの動きに対しても「病気を上手くお笑いに昇華できてる稀な例」だとも思っていた。その裏では、大量の安定剤を服用して、自分自身と必死に戦っていたことなど、露知らず。

そういう特性を持つ人に対しても、たとえ今回のようなことがあってもカムバック出来る、理解ある社会って、大事だと思う。

身の回りの「あり得ない人やおかしな出来事、現象」の裏側には、「そうなる他なかった」止むに止まれぬ理由や原因があるのかも。そんな事を感じずにはいられない、深い動画体験でした。

いいなと思ったら応援しよう!