5,岩場に苦戦
6合目からはそれまでとは打って変わって急な斜面の連続。斜面に沿ってジグザグに進むもそれが永遠に続くかのような錯覚を起こすほどその道は果てしなく続いた。
子供たちはトイレに行きたくなるもしばらくトイレはない。落石防止の壁に隠れて用を足すしかなかった。そんな精神状態のなか、唯一の救いは遠くにみえるが今にも手の届きそうな場所にもみえる山小屋たちだった。7合目から8合目にかけては山小屋が多数存在しており、私たち家族もその中の1つである鎌岩館に宿泊予約をしている。
山小屋群が見えるようになってきてからは、ゴツゴツした岩の斜面が続く。大人でも心身ともに耐えられずギブアップしてしまいそうな高難度の斜面を子供たちは元気よく登っていく。大人に比べて手足が短いので、大きな岩を登るのは何倍も大変なはずなのに。そんな姿に背中をおされて、休憩もそこそそに次の岩に挑むのであった。さすがにペースが遅すぎたのか?雨でスタートを遅らせすぎたのか?予約した山小屋に到着したのは、日が落ちすっかり暗くなってからの事だった。疲れと安堵から入り口付近にそのまま座りこんでしまった。そんな私をわき目にヘッドライトをつけた一群が通り過ぎて行く。もっと上の山小屋に泊まるのか?それとも弾丸で山頂アタックするのか?いずれにせよ体力や技術レベルの違いをまざまざと見せつけられた。