〜年越しの花火とブルーノ 【南米周遊紀no.10】〜
人生初めての海外での年越しはブラジル・リオデジャネイロだった。日本育ちの僕にとってはビーチに半袖で年越しをすることはとても不思議な体験だった。今回はそんな話。
2022年年越し2日前。年越しに向けてホステルの値段が高騰したことから元いたところを追い出されていたブルーノ(ペルー人/27歳)と僕は1つの安い部屋を共有して生活していた。
昼下がりにブルーノが
「チケットを買いに行こう」と言ってきた。
僕が
「なんのチケットを買いに行くの?」と尋ねると、
「年越しをコパカバーナで過ごすためには大晦日限定のメトロのチケットを買わなきゃ行けないんだよ。もうすぐ売り切れちゃうから早く行こう」
とブルーノは返した。
2人でカリオカ駅までチケットを買いに行く。年越しをビーチで過ごすためにチケットを買いにきている人が先に並んでいた。どうやら混雑をさけるために時間ごとにチケットを区切っているみたいだった。僕とブルーノのチケットの時間は20~21時。以前いたホステルに滞在しているメンバーは21~22時のチケットらしく僕たちは集合場所を事前に決めることにした。
2022年12月31日。ブルーノと僕は、ビーチでのお酒は値段が高いことを予想して電車に乗る前に、「ブラーマ(ブラジルで1番人気のビール)」と「ウォッカ」をティエンダ(道端にある商店)で購入し電車に乗り込んだ。電車の中にはボタフォゴなど他のビーチに向かう全身を白でまとったブラジル人が溢れかえっていた。ブラジルは神聖な日やお祭りの日には白い服を着るのだ。
駅についてホステル滞在組のイヴァン(ウルグアイ人)やチャーリー、フランシスコを待った。目的地は「コパカバーナ」リオで1番有名なビーチだ。ビーチに入る前に、警察による厳重な荷物検査があった。何も持ってないのに少しドキドキしたのはなんでだろう笑。
コパカバーナにはものすごい数の人が集まっていた。他の南米の国から旅行をしにきている人も多くスペイン語がよく聞こえた。ビーチの上に特設ステージが設置されていて多くの観客が右手にお酒を持って音楽に楽しそうに乗っている。
友達とお酒を飲み砂浜で踊っていると、ステージのモニターに急に数字が浮かび上がってきた。カウントダウンが始まったのだ。コパカバーナにいる人全員でカウントしていく。
「3,2,1」
ボッかーーーーーーーーーん。
会場から無数の花火が打ち上がり始めた。友達たちと
「feliz ano novo (あけましておめでとう)」と言い合いハグをして今年1年が充実するようにと労い合った。この時見た花火はとても鮮明に見え、音は最高だった。
花火は何十分も打ち上がり続け、僕たちは酒を飲み砂の上を裸足で踊り続けた。コパカバーナで見る初日の出は最高の思い出になるだろうなと思っていたとき、事件は起こった。フランシスコが慌てた様子で僕に話しかけてきたのだ。
「おい!!ブルーノ見たか?トイレ行くって抜けてから1時間以上帰ってこないんだよ!」
ブルーノが失踪した。
めちゃくちゃ焦った。ここはブラジルで、厳重な荷物検査が合ったとはいえ、何かブルーノの身に起きてしまう可能性があるからだ。さらに、部屋の鍵はあいつが持っている。この何万人といるビーチで失踪した彼との再会はかなり難しい。
僕とフランシスコはとても心配しビーチを走り30分ほど探し続けた。トイレの周りにもいなかった彼は、なんとビーチの上でぶっ倒れていた。お酒の飲み過ぎで彼は自分がどこにいるかわからなくなって気持ち悪くなり、トイレで吐いた後ビーチの上でぶっ倒れていたのだ。
まじで勘弁してほしい笑。本当に27歳なのか疑う。以前にも共有している部屋のトイレ(ブラジルのトイレは紙を流せない)に紙を詰まらせて何食わぬ顔で僕に
「ルール守るの好きじゃないんだ。だってダサくね」
とか言ってくるやつだからだ。その時はキレてしっかり掃除させたが。。
かなり体調が優れていなそうなブルーノとこのまま日の出まで過ごすのは無理だと判断した僕とフランシスコは友達と別れを告げて帰ることにした。本当は朝までいたかったが、彼と一緒に帰らないと僕が部屋に入れなくなるから半強制的に帰ることとなった。まじで腹立つわあの太っちょメガネ。まじでいいやつだからめっちゃ仲良いけど時々本当に腹が立つ笑。
また、帰るためにサンダルを取りに行ったら盗まれていた。僕のだけ。何も特別じゃないただのアディダスのスリッポンなのだが、砂の上からなくなっていた。仕方なく僕は裸足で帰ることにした。
そしてコパカバーナを後にして僕たち3人は帰路についた。彼があまりにも謝ってくるから、明日僕に飯を奢らせる約束を交わして許した。
最寄りの駅についてから3人で見た空は登ってきた太陽に赤く燃やされ始めていてとても綺麗だった。