old crime/塩入冬湖

これは誰の犯罪か
名前なんてないから目を伏せた
朝になれば街灯が明るかった事すら忘れるわ

悪びれもなくキスをした
使い捨てのようなキスを
どれだけ思ったとして
あらすじは一行で終わるでしょう

工場街から捨てられる煙が
ぼやける時間は一人きり
その日其処にいただけの言い訳で
はじまる弱い奇跡

愛情なんてここにない
だから賢いおんなで居たかった
許されなくても構わない
あなたの過ちにもなれない

おやすみの次に言いたかった
言葉はおはようだけだった
ドアを開けるその顔に
寂しさ一つが欲しかっただけなの

手を振る時の予告は
いつもその顔には見えない
仕組みのない二人には
当たり前な事が一つもない

そばにいないから愛されないだと
思い違いで生きていた
夜の中身などどうでもよくなり
はじまる弱い奇跡

愛情なんてここにない
だから賢いおんなで居たかった
新しいだけの名目じゃ
すぐに古くなってしまう

明ける夜を見ないふりで
繰り返してただの悪者になって
ふたりはずっとはじめから
エンドロールの続きじゃない

愛情なんて此処にない
だから賢いおんなで居たかった
許されなくても構わない
あなたの過ちにもなれない

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