米国公認会計士vs日本の公認会計士その2(世界における影響力)
その1では両資格の違いについて述べたが、今回はグローバルで見た場合の影響について語ってみたい。
会計基準は各国の商文化の違いからか、各々の国で違いが大きかった。
これは極端な例かも知れないが、旧ソ連などの共産主義国は計画経済であったせいか、資本主義国の会社における売上高に変わる会計の指標は生産高だったと聞いた事がある。つまり企業が自由に商品やサービスを売れる経済ではないので指標として生産高が使われたのであろう。
これは凄く特殊な例だから参考例としては相応しくないとは思うが、会計基準というものはそれぞれの商慣習に基づいていたため各国の会計基準にはバラつきがあり国が違えば比較可能性は相当低かったであろう。
しかし現代のようなクロスボーダーで商売するのが当たり前になり株式を上場するにしても投資家は全世界にいる。投資家は統一された会計基準での財務報告を望んでいた。
そこで生まれた発想が会計基準の統一化である。
とは言え、世界各国の意見を聞いたとしてもまとまるはずがない。そこで先導役を務めたのがアメリカのUSGAAPとEU及びイギリスが推し進めているIFRSである。
とはいえEU加盟国はいくつもあり、国力的に会計基準に影響を及ぼす力があるのはイギリスだけではないか?
イギリスはEUを離れたが、残ったEU各国の中で世界的な会計基準に影響力を持てるのはせいぜいドイツくらいか?
いずれにせよ有象無象のヨーロッパ各国にたった一国で会計基準統一にたった一国で対峙できるアメリカの公認会計士協会及び会計基準審議会のパワーはすごいとしか言いようがない。加えて米国公認会計士協会は他国との資格の相互認証を推し進めている。オーストラリア、香港、その他。
日本の公認会計士協会はIFRS側に意見書は出しているもののその影響力は微々たるもの。一方で米国公認会計士協会は他国との相互認証を勧めながらその影響力を増そうとしている。現状日本は相互認証を頑なに拒否している。
いくら日本が先進国といえども公認会計士の数は少数、一方で私を含め米国公認会計士の資格所有者はアメリア国外を含めて圧倒的多数。
現に会計基準統一のプロセスで日本の公認会計士のプレゼンスは微々たるもの。USGAAPとIFRSが取り決めた統一会計基準を指を咥えて導入されたするのがせいぜい。
日本を一歩でればいくら試験が難関だろうと日本の公認会計士より米国公認会計士の方が評価される。日本の公認会計士?なにそれ美味しいの?というのが世界的評価。それが現実。
公認会計士に限らないが、試験を受かったらあとは安泰のような試験制度は改めた方がいい。
手前味噌ながら米国公認会計士資格との相互認証もよろしく。