妻の帰還③

長女がついに「母親に会いたい」と泣き出して、次の日には会いに行くことを約束して、眠りについた後。

二人が眠ったことを確認してから起きだした俺は、妻へ「明日ほんの少しの間で良いから、子供に顔を見せてやってほしい」とLINEを入れる。

続けて上司に「明日有給にさせてほしい」旨の連絡を入れておいた。
20時過ぎには布団に入り21時前には寝ていたので、この時間での連絡でもギリセーフだろう。

次の日、道中ホットモットでドラえもん弁当を購入し、妻の実家近くの公園で待ち合わせにした。
義実家には近付きたくなかったのだ。

公園につくと妻はもうテーブル付きのベンチに座っていた。
妻を見付けるなり駆け出す長女。
車の中では顔が強張っていたので、3歳なりに緊張していたのだろう。

久し振りに家族4人で一緒にお弁当を食べている間、長女は母親に話しかけ続けていた。
1歳の次女はまだ状況がわかっていないからか、パパから離れなかった。

会話も一段落したところで、妻から「体調も良くなってきたし、このまま帰ることにするよ」と。
そういう事は事前に伝えておいてほしい。
コチラは顔だけ見せて、長居せずに子2人連れて帰るつもりだったのに。

「最初からそのつもりで公園にも荷物をまとめて持って来た」というのだが、義両親と顔を合わせたくないからといって、このまま妻を連れて帰っても良いものかどうか…。
連れ帰るならせめて挨拶だけしとくか?そもそも、鬱の原因は俺だと思い込んでいる状況で、よく帰すことをOKしたなと思うのだが、義両親として本当に良いのか?
なんて色々考えたが、やっぱり義両親の言い分は許せなかったし、やっぱり顔も見たくなかったので、挨拶せずにそのまま妻も一緒に家に帰ることにした。

こうして、18日振りに妻が帰ってきたのである。
長いようで、たった18日間のシングルファザー生活であった。

後に、このシングル生活が如何にストレスフリーであったかを痛感することになるのである…。

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