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漫湖という健全な遊び場、その変遷と追憶|Report
現住所の最寄りの河川が国場川。その河口の手前付近を漫湖と呼ぶ。音にすると「まんこ」となり、沖縄に来たばかりの頃はよくネタにされたから、難しい漢字だったがこの地名はすぐにおぼえた。
ただこの言葉を口に出すことに、大学の先輩たちが期待したような恥じらいは僕にはなかった。だって地元じゃ女性器のことは「ぼぼ」とか「ぼぼじょ」だったからね。「まんこ」なんて外来語だよ。むしろ恩納村の「伊武部(いんぶ)ビーチ」のほうがドキドキしたなあ。
那覇市と豊見城市の境目に、環境省の「漫湖水鳥・湿地センター」がある。ラムサール条約湿地だからね。ここのウェブサイトでは漫湖の歴史がざっと次のようにまとめられている。
戦前~1970年頃
埋立前は「海」と呼ばれ、小舟が行き交う交通の要衝だった。
1970年頃~1990年頃
多くの水鳥が飛来する反面、泥干潟化が進み、水質の悪化やゴミの流入が問題となった。
1990年頃~2007年
土砂の堆積やマングローブの植栽のためマングローブ林が拡大し、水鳥の生息に影響を及ぼした。
2007年~2012年の保全事業の頃
水鳥の飛来数を回復させるためマングローブ林の一部を伐採した。伐採後、クロツラヘラサギなどの水鳥が戻ってきた。
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このように、漫湖にはマングローブ林が広がり、その干潟には水鳥が飛来して給餌するなど、多様な生物の生息地となっている。僕がルアー釣りを始めた頃に、この川や支流の饒波川水系でよく釣りをしていて、カライワシやホシミゾイサキ、ゴマフエダイなど初めての魚を釣り上げることで多様性を実感した。
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湿地センターが発行している『記憶さんぽ〜漫湖聞き書き帖』というニュースレターに、古波蔵に住む95歳の仲村渠さんという方のインタビュー記録がある。そこから「読む生き物観察」をしてみよう。これは昭和のマイナー・サブシステンス(遊び仕事)の記録でもある。
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貝類
アファケー(オキシジミ)がいっぱいいて、農連市場に売りに行った。
ガーナームイの周りはクチャンマ(マテガイ?)という細長い貝がいて、ツルハシで掘って獲った。
浅いところにはチンボーラー(カンギクガイ)がいたから、夏の大潮で潮が引いたときに獲った。南風原の人に売ってこづかい稼ぎした。
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甲殻類
夏にはセーグヮー(小型のエビ全般)がたくさんいた。使わなくなったカチャ(蚊帳)を使ったカゴ網に炊いた芋を入れて餌にして獲った。
泥の中にはクルマジェー(フトミゾエビ)がいた。梅雨の時期で畑仕事ができないときに女性が獲って、東町に売りに行った。
カキ殻が堆積してできた小さな島があって、そこの穴の中にはアカンミーガニ(イワオウギガニ)がいた。オジーたちがクワで掘って獲った。
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魚類
ガーラ、クチミジャー(アジの幼魚)、クークーグヮー(シマヒイラギ)、チン(ミナミクロダイ)を釣って食べた。着物から糸を取って竹竿に結んで釣った。
ミナトグヮー(体長1mほどのオオメジロザメの幼魚)は、大潮のときに真玉橋あたりまで遡上していた。天ぷらにするとおいしかった。
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コロナ禍で外出もままならなかった2020年の夏は、SUPでこの川を何度か遡行した。大潮の干潮時には水が引いてしまうため、満潮のときか、満ち引きが小さい小潮の日を選んだ。大場所で遠望がきくので、目立ってしようがない。帽子を目深にかぶり、日焼け防止のフェイスガードで、自粛警察の目から逃れた。
しかしこの国場川は臭いんだ。昔に比べるとだいぶましになったとはいえ、場所によっては畜産排水が流れ込んで水質が悪く、ドブ川を薄めたような匂いがする。暑いんで足を水につけてたけど、傷口があったら躊躇するね。
国場川で釣れた魚は食べないようにしていたが(もともとキャッチ&リリーサーです)、一度だけクワガナー(コトヒキ)の味がどんなものなのか味見してみたくて持ち帰り、塩焼きにしてみたことがある。旨くなかったのは、この川のせいなのか魚本来の味なのか、それとも調理法の選択ミスなのか、僕には判断がつかなかったよ。
最後に、フィッシングギャング梓のオオメジロザメ捕物帖を貼っときます。現場は真玉橋より少し上流らへんだよ。このあたりまでサメもGTも遡上して、ときどきドッパーン!という轟音をたてて捕食してますぜ。
AZUSA、ユーチューバーやめるってよ。