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谷川俊太郎さんの詩


古本屋で買った谷川俊太郎さんの詩集
モーツァルトを聴く人

モーツァルトを聴く人に収められている詩の中から私が今日1番読みたい詩、読んだ詩はこれです


つまりきみは

モーツァルトの音楽を信じすぎてはいけない
なにかにつけてきみはそう言った
酒に酔って言ったこともあるししらふで言ったこともある
だがぼくにはその意味がわからなかった
ついこの間まで

つまりきみはこう言ってたんだ
天国には死ななきゃ行けないんだぜって
かといって君がこの世を地獄だと考えていたのではないことは確かだが

何年か前モーツァルトを聴きながら車を運転をして
涙で前が見えなくなって危なかったことが何度かあった
もうぼくは人の言葉は聞きたくなかったんだそのころ
特にあの女の言う事は

モーツァルトは許してくれた
少なくともテープが回っている間は
だがあの女は一瞬たりともぼくを許さなかった
当然だ

きみはもしかするとモーツァルトから逃れたくて
あんなに酒を飲んだのかもしれない
死ねばもう何の悔いもなく
モーツァルトを愛せると知っていて


音楽を愛していた谷川俊太郎
今頃大好きなモーツァルトに抱き締められているだろうな

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