小説「浮遊の夏」⑩ 住野アマラ
眠くなってきた。
私は敷かれた布団の上に大の字になった。隣は爆睡中。
「もう寝たと思ってがっかりした?」
「びっくりした、起きてたの?急に大きい声出さないでよ」
「俺のビール飲んだだろう」
「飲んだよ」
「このまま何もしないと思ってガッカリした?」
相方はすーっと布団に入ってきた。
そう結局浴衣は、はだけちゃうのよね。
彼は私の指からキューピーちゃん人形を口に咥えて外した。
浴衣の胸元から手が差し込まれその手は優しく乳房を揉みしだく。
かすかに「あぁ」と私が声を出したかも知れないし、どこかの誰かが遠くで吐息を漏らしたのかもしれない。
今日聞いたお経の気持ち良さとどこか似ている。
そんな曖昧な快感の波に乗せられる。
その波は私の身体をうつぶせにさせたり波打たり溺れさせた。
やっぱり帯も外してもらおう。
〈続く〉
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