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    エンタメのあれこれを述べています

  • エッセイ

    「子どもの頃の感覚を文字に残しておきたい。このまま黙っておいたらなかったことになる!もったいない!」と謎の焦燥感に駆られ描き始めました。あたたかく見守ってください。

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    「もったいないエッセイ」とはまた一味違ったものを書いています、明るい話ではなくて、お好みじゃないこともあると思うので合わなそうであれば全然忘れてくださいね。

最近の記事

なぜカナが主役なのか?映画『ナミビアの砂漠』が描く女性とは

”彼女に誰もが夢中になる” 数ヶ月前のTOHOシネマズのロビー。流れている館内映像で、カナを知る。思えば私はこの瞬間から、既に彼女の虜だった。 事前情報は予告のみ。学生時代に観た『あみこ』を監督した山中瑶子さんの期待の新作。山中瑶子監督の描く女の子には、一風変わった魅力が溢れているので、公開日が待ち遠しかった。 予告から「カナは自由奔放ではちゃめちゃなキャラ?人たらしでみんな恋しちゃう的なこと?」と思っていたけど、それは全くの見当違いだった。カナはかなり筋が通った生き方

    • 舞台「ふくすけ」の序章から観る性加害問題

      冒頭、コオロギとサカエの出会いが描かれる形で物語は始まる。舞踏の指導現場において、紅玉(家元)とコオロギが押し問答するシーンに移る。自らを「吸血鬼」と言いながら、これも指導の一環だと言うかのように、コオロギの血を吸おうと襲いかかる紅玉。 「今はちょっと…のちのち、仲良くなってから」と断るコオロギに「今日吸わせないやつに、明日があるか」と怒鳴る紅玉。 なんだか聞いたことがあるやり取り。最近週刊誌やネットニュースで見たような気がするのは、私だけじゃないはずだ。 このやり取り

      • 買い物の楽しさって何だっけ

        買い物って、ふらっと出掛けてチラッと見た先にビビッとくるものがあって、試着したり鏡で合わせたり触って素材確かめたりして、「よし!これだ!」ってなって買うのが楽しかったのに、今は出先でせっかく「可愛い!」って思うものを見つけても、「ネットで探したらもっと可愛いのあるかも」って思って帰って、でもネットでそんなちょうどいいのなんて探せなくて、似たようなの見つけてもうーんなんかなって悩んでいるうちに、そんなに欲しくなくなって、そのアイテムが欲しかったことすら忘れて、結局ネットで「あ、

        • 私から親友が消えた日

          2023年1月6日、親友が消えた。 親友だと思っていたTが、私のそばからいなくなった。 私たちが出会ったのは、小学校3年生のとき。 私とTは同じクラスだったが、取り立てて仲がよいわけではなかった。それぞれ遊んでいるグループも別だった。きっかけは、当時放送されていたテレビドラマの『アタックNo.1』 ある日、クラスの中で『アタックNo.1』を好んで観ているのが、なんと私とTだけということが判明した。田舎の学校で、大人が見るような番組を禁止されている家が多かったからなのか

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        記事

          方言が消えた日

          テレビの芸能人の話し方を真似をすれば、どうせ喋れるだろうと高を括っていた標準語。 しかし、いざ声に出してみると全く喋れず、上京してすぐに訪れた中華屋で「あの、これ」「はあ」しか言えなかった。 あと4日に迫った入学式。このままでは、大学生活のスタートは無口だ。無口のつまんない女として、4年間の貴重な大学生活をやり過ごすことになってしまう。 最初が肝心なのにやらかした。上京が決まってから、標準語を練習する時間はたっぷりあったのに。 それからというもの、バラエティ番組に出演

          方言が消えた日

          コンビニのご馳走

          学生時代、コンビニに行くだけで遊園地に行くような"ワクワク"があった。 中学生までは、登下校の道中にコンビニはなく、都会のコンビニ寄り道に憧れていた。 高校生になると、帰り道でコンビニを通るようになった。何を買うわけではないけれど、必ず彼氏とコンビニに寄った。気遣いしいのわたしは、しょっぱいものが食べたいときも、甘党の彼が買ったスイーツやミルクティーを少し分けてもらっていた。 コンビニのおでんやピザまん、唐揚げの味を知ったのはこの頃。 当時のわたしの体は、焼肉よりもお

          コンビニのご馳走

          映画は映画館で観たい「ある」理由

          映画は映画館で観たい。画面の大きさが〜とか、配信されるまで待てないとか、音質が〜とかそれっぽいことを言いたいのだが、それよりも大きな理由がこれ。 家で映画を観ると集中できないのだ。 私はとにかく誘惑があると、一つのことだけに集中できない。映画館だと、携帯も触れないし仕事もできないし、せいぜいポップコーンをむしゃつくくらいだが、家の中にいるとまあ、誘惑だらけで。 「ふう。」と一息つき、おとなしく映画を見ようとしても、テレビ台に積もった埃が気になる……!クイックルワイパーで

          映画は映画館で観たい「ある」理由

          白ごはんには白いお供

          小学校中学年の頃まで好き嫌いが激しく、ハンバーグもラーメンもカレーも食べられなかった。家族でレストランに行っても、祖母が頼むハンバーグセットに付いてくる白いご飯に塩をかけて食べていたのをよく覚えている。せっかく合法的に、親のお金で美味しいものを好きなだけ頼んでも許される期間だったのに。それを祖母が食べ残した白ごはんで済ませるとは。非常にもったいない。 そのときの味が懐かしくて、今でも”ライスセット”を頼むと、10回に1回はライスの端っこに塩を振りかけて食べる。安心する味なの

          白ごはんには白いお供

          マイケルがマイクでモンキー

          めっきり洋画を観なくなった。 中学3年生の夏休みにゴシップガールにハマっていた頃は全員の顔がわかった。高校生になってからは、再放送される韓国ドラマも逐一欠かさず録画して観て、DVDにまで焼いていた。 今はもうほとんどが見れなくなった。 顔の分別が付かない。 誰が誰か分からない。 映画の中で1日経って、着ていた服や特徴的な髪型が変わってしまうともうダメだ。 ポニーテールの優しいヒロインで覚えていたのに、次見たポニーテールはヒロインを陰湿にいじめているし、主人公の兄だ

          マイケルがマイクでモンキー

          ズレた指輪と新婚生活

          左手にはめられた結婚指輪のサイズが合わない。ジュエリーブランドに疎い私でさえ聞いたことのあるような高級なジュエリー店で、何度もいろいろなサイズを試し他のに。大きすぎるのか、生活しているうちに指輪がくるくる回ってしまう。 選んだ指輪は、薬指の正面がV字型にカーブしていて、真ん中にダイヤが光るデザインだ。V字のカーブは、指が細く綺麗に見える効果があると言われ、毎日つけるものだからと、それが決め手でこの指輪を選んだ。 なのに。 その決め手となったV字は、気がつくといつも薬指の

          ズレた指輪と新婚生活

          お騒がせタクシー通学

          可哀想なことに、高校1年生の夏休みの初日(今日から毎日夏の青春パーティーが始まるぞと意気込んだ日)に、交通事故に遭って足を骨折し、自転車通学ができなくなってしまった。 バスも満足に通っていない田舎で、かつ親は送り迎えができなかったので、タクシー通学をするよう医者と親に申しつけられた。 が、そんなバカ目立つことなんて絶対にしたくなくて、だったら「松葉杖で3時間歩いて通う!」とメソメソしていたら、当時付き合っていた彼が「一緒にタクシーに乗って行ってあげるよ」と言ってくれたので

          お騒がせタクシー通学

          「ごちそうさま」の教育は少女漫画で

          「飲食店は、ご飯を食べさせてもらって当たり前の場所。お金を払っているんだから、ご飯を提供されてもありがとうなんていらないんだ!」 と、幼稚園生のわたしはかなり横暴な考えを持っていたので、食事後わざわざ店員さんに「ごちそうさま、ありがとうございます」と言うおばあちゃんのことを、恥ずかしいと思っていた。 そんな当時の自分が、今は恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。実に、気づいてよかった。 成長するにつれて、それは必要な言葉だと知った。というのも、当時読んでいた少女漫画で「飲

          「ごちそうさま」の教育は少女漫画で

          給食ダイエッター

          私は、好き嫌いが多い子供だった。 いわゆる子供が好きそうな唐揚げやエビフライ、カレーにハンバーグ、オムライスといったものも嫌いだった。ちなみに寿司屋に行くと、かんぴょう巻きとお茶を嗜んでいたそうだ。家のごはんで喜んで食べていたのは、ひじきや筍の煮物や切り干し大根らしい。どおりで晩ごはんでの出没頻度が高かったわけだ。渋い。 これだけ好き嫌いが多いわけだから、栄養バランスが満点の給食なんて、食べられるわけもなかった。しかも唯一食べられる和食や魚は食べられたもんじゃなく、ソフト

          給食ダイエッター

          吸ったらチャラのため息

          高校生のとき、ため息を吐く度に、隣で息を「ハアッ」と吸ってくれる男がいた。「ため息を吐くと幸せが逃げる」という迷信を信じていた、彼なりの解決方法だったようだ。 「そのため息を俺が代わりに吸ったら、全部チャラになるから大丈夫」と言ってよく笑っていた。 残念ながら、当時の私にはその理屈が全くもってピンとこなかった。ため息をつくのにはそれなりの理由があって、それは来月のクラス替えが不安だとか、毎日ランニングをしないと体育の成績に2をつけるぞとゴリゴリの体育女教師に脅されているこ

          吸ったらチャラのため息

          〈もったいない〉が産んだエッセイ

          きっかけは「もったいない」だった。 生粋の貧乏性のわたしは、何かと「もったいない」という感情に取り憑かれる。ダイエットをしていても、賞味期限が迫っているからもったいないとお腹が苦しくても無理に食べたりするし、どこかにお出かけしても、1個のことをするためだけに行くのはもったいないから、別の用事をいくつもくっつけたり。 こういうことが重なると、”もったいない疲れ”をしてしまうことも。 そんなわたしは最近、スーパーからの帰り道や夜床につくとき、子供の頃や学生時代など、若かった

          〈もったいない〉が産んだエッセイ

          昨日、アイドル解雇されました

          「今日でクルメロリを辞めてほしい」 ​​マネージャーからそう告げられたのは、ライブが始まる3時間前のことだった。 ファンとは繋がってないし、闇営業もしていない。規約違反をしたわけではないし、大きな問題も起こしていなければ、炎上もしていない。メンバーとのトラブルもないはずだ。けれど、人生を賭けたアイドルグループ『クルメロリ』を、私はどうやら辞めなければならないらしい。それはあまりにも急な解雇通知だった。 私が6年前に所属したクルメロリのプロデューサーでもある彼の言葉は、い

          昨日、アイドル解雇されました