「外見至上主義」
外見至上主義 言わずと知れた韓国生まれの大ヒットwebtoon作品である。私はこの作品が大好きである。その理由は、キャラクターismを汲んでおり、日本の漫画と同じ作り方になっているからだ。
Webtoon作品は序盤で読者の関心を掴むために、ある程度上手くいく型で物語を作ることが多い。しかし、それはキャラクターismよりかは、期待を作るという形であり、似たり寄ったりの作品になりがちである。
私の意見だが「外見至上主義」と「女神降臨」こそがWebtoon界の中のキャラクターismを体現した作品であると言える。
・ログライン
不細工で虐めらっれ子蛍介(高校1年生)は、新しい環境でやり直そうと決意する。転校先で生活を始めたあるの朝、目を覚ますとイケメンで高慎重な真逆なもう1人の自分と入れ替わることができるようになる!!!不細工とイケメンの両面から新生活で起きるごたごたを解決していく痛快コメディーやり直し物語
外見至上主義が優れている点を一言で表すと
💡【不細工がイケメンに転生し、不細工の価値観・態度を持ったままイケメン・美女の世界の疑似体験」する という 新奇性(珍しさ)が読者の興味・関心を奪っている
以下で詳しく説明をしていく
📍イケメン・美女の世界の疑似体験
ラブコメの面白さを構成している要素の1つである「疑似恋愛が体験できる状況設定」が読者の関心を奪うのと同じように、外見至上主義では「イケメンの世界を体験できる」のだ。
読んでいる読者の殆どは不細工側であり、ジャニーズや俳優さんのようなモテモテ人生を歩んできたことはない。そして皆一度は心の底からイケメンの人生を歩みたいと思ったことがあるのではないか。そんな人達がイケメンの世界を蛍介と一緒に体験できることにこの作品が多くの国で愛されている要因だと考える。ただ読みやすいではない。
👇ラブコメを面白くする構造について説明しています
📍陸に上がった河童 イケメンの世界を不細工の価値観・態度で渡り歩く
簡単に言うと、キャラクターの特徴や内面をより面白く見せるための手法 が「陸に上がった河童」である。
外見至上主義では、特に蛍介の内面を面白く読者に見せていくことが大きな特徴である。だからこそ、心(価値観・態度)は不細工時代のもので、イケメンの世界という環境に投げる 構造にしている。そこで生じる想いや葛藤などの対立が物語を面白くしている。
具体的には
・不細工とイケメン世界を対比し、イケメンの人が経験する出来事への蛍介のリアクションが面白い
ex.周りの嫉妬や絡まれ方
・蛍介のリアクションはだいたい2パターン
①過去の記憶との対比 で 安堵したり感動したりする
②不細工時代の価値観・態度があるからこそ生まれる
周りへの勘違い・擦れ違い
L物語を前に進めたり、コメディを作ったりする
*テクニックとして、イケメンになった世界での感じ方などを対比させるために、不細工蛍介の出来事を出している
次に構成の観点でどのように読者とキャラクターの絆作りをして、期待を作っていくのかを分析する
🚩投影←親近感と期待 をして貰うキャラクター創り
後程説明するが外見至上主義は最初は蛍介を可哀想と読者に思ってもらうように構成がされている。その可哀想な所に多くの読者の親近感を持って貰う部分があるかもしれない。例えば、「もてないこと」や「虐めっ子に逆らえないからお母さんに八つ当たりしてしまうこと」等である。
そしてイケメンにメタモルフォーゼしてからは、イケメンになった資質・イケメンになったからこそ得られる経験 という憧れの部分を持たせている。
だから読者は蛍介を推すようになるのだ。
👇推し活について説明しています
*補足
📍引きで読者が次回に期待すること(引きで読者の好奇心や関心を作り出していることの分析)
〇1話 ・怒った母ちゃんが虐めっ子達とどうなるか気になる
〇2話 ・イケメンに入れ替わったから???何が起きているか理解したい〇3話 ・イケメンになった蛍介の学校生活がどうなるか気になる
📍対立を作り出すための仕掛け
眠ると体が入れ替わるという性質や自分が2人いるという設定が場面ごとに対立を生み出す装置として機能している。例えば、お母さんが会いに来てくれた際に、寝ている自分のもう1人の姿がバレるということなどである。
🍀最後に 1話目から3話目までの構成も含めた まとめ
「外見至上主義」は所謂「負け犬型の成り上がり物語(ロッキーやナルト)」をベースに独自の魅力を持っている作品である。
「負け犬型の成り上がり物語」とは、読者が主人公を同情し、応援し賞賛する(ドーパミンの獲得)アンダードッグ効果が生じる物語である。そして、アンダードッグ効果を成立させているのが①主人公がどうしようもない不条理・不合理な環境で苦しめられている(不細工だから、虐められる) と ②
そんな環境の中で生まれる儚い想いや切ない願い(お母さんに転校することを許される場面までに蛍介の気持ちに共感できるから、母からの優しさと改心した蛍介にアンダードッグ効果発症)
そこのベースを作りながらイケメンになって今までとは違う学校生活を送るという構成が、読者に貴重な体験を観たい・知りたい・理解したい (好奇心)気持ちを抱かせ、コメディーで読みやすいプロットで描いているからこそ唯一無二の魅力ある作品である。
以上が「外見至上主義」がヒットしている物語の構造である。
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外見至上主義
1話目
・暴力・いじめ・冷笑・嘲笑という情動的に可哀想に感じる
+
・主人公の感性を描ている
女性から向けられる同情の目が嬉しいとすら感じてしまう ➤これ これでこのキャラクターに命が芽吹いたと思った
自分がサッカーボール顔面にあたり、痛いし、メガネが取れたにも関わらず、掛け金をかけた人のことが気になる➤可哀想・完全な負け犬な所が可哀そう
・未熟さ という欠点
学校で虐められているけど、お母さんの前でだけ強くなって、暴言を言う。そんな自分が嫌いで、最低のくず だと思っている 所が
人間臭く感じる
母親というキャラクター
・息子を思いやった行動を取っているので好感度が上がる
➤息子の願いを聞き、家計的にもやっと安く住める場所が見つかったけど、そこから離れるリスクを取ってでも学校に
転校をお願いしに来た
+
・先生への嫌悪感
➤優しい母親の見た目を観て、嘲笑をする(汚いと馬鹿にする)
➤➤怒りと嫌悪感:子供の願いを聞いたうえでの行動をしてくれているお母さんを下に見るなんて頭にくる
〇2話目
・助けてくれたお母さんを皆の前で どっかにいけと 怒鳴ってしまう主人公 一番のクズだ➤この後のお母さんと会う所の気持ちが共感できる
➤この後 母親と会った時どうなるんだろうかと気になる(結果の不確実性)
・お母さん 息子の前に恥をかかされた&貧乏にも関わらず、息子を思いやった行動をしているので好感度が爆上がり
➤転校を勧める&生活費も工面するという
・ピュアでお調子者だから、面白い
➤髪型変えただけで、自分カッコいい!!と舞い上がっちゃ所
・真逆の人間に変身するという驚きと、そのメカニズムがわかる面白さ+変身願望と誰もが想像をしたことのある世界を体験できる面白さもある
・周りのキャラクターたちからの態度が変わる 滑稽さの面白さ
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