君とカフェで、 <短歌>
"いつもの"を頼んだ君に追いついて
「スモール、アイスの、カフェラテひとつ」
私の恋人は、カフェでアイスココアしか頼まない。
夏でも冬でも、サンマルクでもドトールでも、初めて入るところでも。
店に入ると、メニューを見る動作もなくカウンターに直行してしまうから、私は少し焦って追いかける。その場で考えるのは苦手だから、特に飲みたいわけでもないのに、アイスカフェラテを注文してしまう。
そんな日常を短歌に詠んだ。
商品を受け取って席に着く。
二人席だと君はいつも、奥側のソファを譲ってくれる。
「アイスココアがない店って、ないの?」
「今までで一回だけあったよ。」
「メニュー見ないで、『アイスココアください。』って言ったの?」
「うん。すごい気まずかった。」
ばかみたいだ。
私が気まぐれで抹茶ラテなんかを頼むと、
アイスココアを差し出しながら「一口ちょうだい」って言ってくる。
私の目の前に座っているのは、そういう甘党で少し頑固な彼だ。