ささやかな喜び
メモ帳に溜まった言の葉の屑を
綿毛を飛ばすみたいに、夜に
思いついたこと、考えたことをスマホのメモ帳に打ち込んでおく。
しばらくすると、捨て置かれているそれらの脆い言葉たちを集めて、ささやかな伝言として飛ばしたくなる夜がくる。
まるで息を吹きかけた綿毛が華やかに舞い、新たな生命への期待を背負って飛んでいくように。
次の日がくる。
昨晩の熱はもうどこかへ行ってしまって、命を吹き込んだはずの伝言は作者にとって色をなくす。小っ恥ずかしくさえ感じる。
たんぽぽにしても、飛ばした種が生を繋いだかどうかなんて、気に留めることはその後一切ない。
あの、吹き飛ばす一瞬間だけが、温かさをもたらしただろう。