目立たない普通の人になりたいけど特別な人にもなりたい

はじめましての方ははじめまして
そうでない方はこんにちは
狐猫です。

今回は本を読んでの感想と、それにまつわる自分の話もしていきます。
読んだ本は「二木先生 著 夏木志朋」です。

この作品とりあえず面白い!
長々と感想をつらつらと書き垂らすより、ポイント絞って喋りましょう。

今回のこの小説で取り上げるのは主人公である”広一”の生活をする上での立ち回りについてです。
なぜここを取り上げるのか。そもそもこの小説自体が主人公広一の葛藤を取り上げているものなので、自ずと小説の主題をとらえようとするとこうなるのです。

では、早速書いていきましょう。
この主人公は昔から変わっている子どもでした。周りからは宇宙人というあだ名をつけられ、変人がられる・・・そういう少年です。
彼はそんな自分が嫌で、無理して流行りの曲を聞いて周りに合わせたり、感じ方を皆と頑張って合わせるということをします。そんな彼はこれらを「地球人になるための訓練」と言い、普通の人になりたいという気持ちを少年時代から持つわけです。

高校に入ってもその変人さは変わらず、クラスでも浮く存在に。
そこに、何事もその状況下での一番無難な回答をする担任「二木」と出会います。マジョリティに絶対属すという個性のない、いわば言葉に書いた「普通」を体現している人物なのです。

どう頑張っても変人になってします主人公”広一”と
絶対に普通を体現する担任”二木”
彼ら2人が混ざればそりゃ面白いですよね!!
真反対の2人が合わさるとどのような化学反応が起きるのか!それは是非見てください。あくまでも今回は主人公”広一”に焦点をあてますので・・
全部書いたら見どころないですからね

さて、広一という人物・・・
もしかしたら、広一の気持ちがわかるという方がいるのではないでしょうか。
変わり者ということを言われたor自覚があり、そんな自分が嫌で普通になりたいと願ったことがある。そんな人がいるのではないでしょうか。
周りには話していないだけで、普通に近づきたいと心では思っている方は多くはなくともいるはずです。
少なくとも私は気持ちがわかります。私もよく「個性的だ」と言われました。

この個性的という言葉。いい言葉のように聞こえますが、言い換えれば「変わり者」ですからね。嬉しいようで嬉しくないんですよ。
次にこんなことを言われます。
「人と違うのはいいことだよ」と。
そうですけども、私の人と違う部分というのは学校生活を送るうえでは大してアドバンテージを成さない。言ってしまえば厄介な個性なんです。

何がそんな個性的だったかって「周りより大人びていた」のです。
そんなやついじりの恰好の的ですよ。
変に大人びていたので、同級生のノリについていこうとしない。ノリの悪い奴。
頑張って普通の同年代のノリを学ぼうとしていました。まぁありがたいことに友達はいたので、楽しく過ごせはしました。

ほら、主人公と似ていると思いません?
こんなことを思っていた人。絶対いるはずです。
そんな方にこそ読んで欲しいです。今まであんまり言語化されてこなかった部分ですし、今まで言語化されていなかったからこそ新鮮に思うでしょう。
これがタイトルの前者「普通の人になりたい」です。

さて、この小説面白いことにもう一ついいところが言語化されているのです。これも作中、主人公”広一”の立ち回りで出てきます。こちらも広一の言葉です。
「自分に文才があると思っていない。自分の持っている能力のなかでもっとも高い値がこれだった」
ここからわかる通り、彼は小説を書きます。その時に「なんで小説を書くんだ」というニュアンスの言葉を言われた時に返答した言葉です。

周りと比較をしたのではなく、自らの能力値を見た中で一番高いという話なのです。
これも何か当てはまる人いるのではないでしょうか。
「ゲームが上手い」「歌が上手い」「文章能力がある」等々
いわゆる得意分野を見つける時にこの手法を無意識に使っているのだと思います。

私も小説を書いていますが、文才ではありません。
平凡なステータスの中で唯一「文章能力」だけ値が少し高かったのです。少し高いだけで「俺は文章能力あるのでは!?」と錯覚したところから私の執筆ライフはスタートしてしまいました。

そして、面白いことに得意なことをやっている時は楽しいんです。
これは作中二木先生が言っています。

「これなら他の人よりもできる気がする」
主人公はそう思って小説を書いたのでしょう。小説を書いていることをクラスの人にばらされたくはなかったようですが、彼は学校外の部分で特別な部分を見出したかったのではないですかね。
これがタイトルの後者「特別な人にもなりたい」です。

矛盾していますよね。
みんなと本当に同じな普通の人になりたいのに、小説を書くという普通とは逸したことをやりだすって。

でも、私は思います。
矛盾しているけど、これは一般的なことだと。
みんな悪目立ちはしたくないんです。できる限り穏便で過ごしたい。
でも、自分の得意分野では周りより優れていたい!
多分まとめるとこうなる気がします。

広一が小説を書いたには理由がありますが、それはあえて触れないことにしましょう。
読んでください。
今回はあくまでも広一の立ち回りについてです。

いかがでしたでしょうか。
作中で広一は色んな立ち回りをしますが、それら全ては人間らしいです。
周りとできる限り合わせたい。でも、自分の得意なことは認めて欲しい。
「普通の人でありたい。けど、特別でもありたい」
なんとも言えない部分を言語化して、作品にした筆者夏木先生はお見事ですね~

さて、気になった方は読んでみてください。
広一はなんで小説を書いたのか。
今回ほとんど触れなかった二木先生は何者なのか。
読めばわかります!

ではでは~


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