ー陸話ー 神の使いの子
ー2024年3月ー
───朱天神社参拝から数日後
俺は、前回朱天神社に参拝しに行ったことを
麗奈さんに話してみることにした。
俺「麗奈さん!俺最近”朱天神社”って神社に参拝してきたんですよ〜」
俺「これがまた綺麗な所で...」
麗奈「そうなんだ」
俺「こんな感じの所なんですけど」
俺は麗奈さんに、自身が撮ってきた朱天神社の写真の何枚かを見せた。
俺「なんか俺、ここの神社で参拝してからパワーというかご利益というか、何か貰えてますかね?w」
俺はウキウキで質問をする。
すると…
麗奈「う〜ん...一人小さい女の子連れて帰ってきたくらいかな?」
俺「…え?」
どういう事だ…?
片道5時間かけて参拝しに行って
俺は良くない霊でも憑けてきたって事か…?
麗奈「ここの写真の鳥居に”赤い着物を着た女の子”が二人、両サイドに立ってるんだけどね、
ここの神社の使いの子を連れてきたみたい。」
麗奈「歳は恐らく年長くらいかな??」
麗奈さんは続ける
麗奈「ここの神社の使いの子は、参拝者の中で”近々危ない事が起こるかもしれない人”にランダムで付いていってるみたいなんだよね。」
麗奈「例えば、神城さんが仮に交通事故にあったとしても、軽い怪我で済んだり、とか。」
麗奈「とにかく神城さんのこと守ってくれる子だから、悪い子じゃないよ。
悪い霊とかも祓ってくれるみたいだし」
麗奈「それで、参拝者をしっかり守りきれたら
元いた神社に自分で帰っていくみたいだね。」
この子こそが、”朱天神社の神様の使い”
いわゆる「神の使いの子」である。
俺「え…!?俺、近々事故するかもしれないって事ですか??まじで気をつけよ...」
俺は続ける
俺「その…神社の使いの子?に、”俺に付いてくれてありがとう”って伝えてもらえませんか?」
麗奈「うん!神城さんの声、ちゃんとこの子にも聞こえてるよ」
俺「そっか。ちゃんと声聞こえてるんだ。」
俺「名前は何ていうのかな?」
赤い着物の少女「那月!」
赤い着物の少女「...皆からは、”なっちゃん”って呼ばれてる!」
もちろん俺には何も聞こえない。
麗奈さんが通訳する。
麗奈「皆からは”なっちゃん”って呼ばれてるんだって!」
俺「なっちゃんかぁ!」
俺「ちなみになっちゃんは、俺が近々危ない事が起こるかもしれない”時期”って分かってたりするのかな?」
俺「時期さえ分かってれば俺もある程度対処とか出来るだろうし。」
麗奈「なっちゃんに聞いてみようか。」
麗奈さんはなっちゃんに
俺の身に危ない事が起こるかもしれない時期を霊話で聞いてみる事を試みた。
すると…
なっちゃん「神城さん、いい人だから私が守りたくなったの。」
麗奈さんが通訳する。
麗奈「神城さんがいい人だから、守りたくなったんだって!」
いい人…?
俺は嬉しかった。
そんな風に思われているなんて。
もしかしたら
”危険な事が起こるかもしれない”というだけで確定された未来ではないのか…..?
ならそこまで心配する必要はないだろう。
そう思った。
麗奈「でもなっちゃんは、神の使いだけあって”強い”ね」
麗奈「そこらの”悪霊”や”生霊”じゃなっちゃんに太刀打ちできないよ。」
なっちゃんは霊の中でもかなり強いらしい。
俺はなっちゃんの存在を頼もしく感じた。
なっちゃん「喉乾いたし、お腹も空いたぁ…」
麗奈さんが通訳する。
麗奈「なっちゃん、喉乾いているみたいだからお水お供えしてあげて。」
麗奈「あとご飯も一緒に。自分がご飯を食べる時に、一緒の食卓で出してあげて。」
麗奈「なっちゃんのご飯は炊いたお米をほんの少し、お椀に入れるくらいでいいよ。」
俺「お供え物か…」
俺「分かりました。明日からなっちゃんのお供え用のお椀やご飯、用意していくことにします。」
せっかく遠い場所から俺の事を守りに来てくれているのだから
俺は俺なりのもてなしがしたい。そう思った。
俺「なっちゃん、これからよろしくね。本当にありがとう。」
俺はそう伝えた。
これが ”神の使いの子” なっちゃんとの出会いであり、初めての会話である。
そしてここから、”神の使いの子” なっちゃんとの共同生活がはじまる────
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