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『小夏の青春』を上演する理由(その2)

2009年冬、『小夏の青春』が誕生した。
常々、「お前は小夏」だといわれていた。ある日、一つの台本を渡された。否、正確に言うと、1枚の紙を渡された。真っ白の紙に右端に『小夏の青春』と殴り書きがしてあった。
「これ、やれ」と。
そこからは、突然シーンの口立てが始まる日々だった。一つのシーンを作るだけ作って、「あと適当につないどけ」と。
適当って言ったって、いや、私には文才はないから無理なんだよ。
悩んでいると、また新しいシーンが追加される。
そうやって出来上がったのがひとり語り『小夏の青春』だった。多くの劇団の先輩方の協力もあって、無事に幕を下ろすことができた。
できたけど、大変すぎてもう二度とやらないと思った。
そう思っていたのに・・・。


よくつかこうへい先生がおっしゃっていたのは、
「北区、文士村(※1)に来れば毎日のように芝居(公演)をやっているという場所にしたいんだよ。俺が(チケット料金)安い値段でやるのは、誰でも見られるようにしたいからなんだ。」
という言葉。

K'sスタジオのオーナー日下さんとお話したときに、なぜだかこの言葉が頭の中によみがえってきて、気が付いたら、その会話の終わりにはK'sスタジオで『小夏の青春』を上演するということが決まっていた。
日下さんは、「お祭りで、小さなお子さんからお年寄りまでたくさんの人が盛り上がっているのを見かけたらついふらっと立ち寄りたくなる
高円寺K'sスタジオがそんな場所になれたらいいな」と言った。

ついに私も15年前に出された課題を提出する時がきた。初演から15年後、初演時にできなかったこと、やり残したこと、変化したこと、変わらないもの、等身大の木村夏子が2009年のつかこうへいに挑む『小夏の青春』
しかも今回は無料公演、無料公演についてはまた次回。

(※1:当時の稽古場でワンコイン劇場など行われていた)

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