芥川龍之介の名作「人間失格」、100円。 私が住む築45年のアパートの家賃、4万円。 私の住むアパートは人間失格より高いのはなぜか。ふと疑問に思った。 壁に沿ってぎっしりと本が詰め込まれている神保町の古本屋で、21歳、名前は別に語らんでもいいような、学校の課題と向き合わずにフラフラしている私は、気分転換という名前の暇つぶしをしていた。 そして私が今まさに手に取った『人間失格』はとてもじゃないが買いたいとは思わない。汚すぎるからだ。中をぱらぱらとめくってみる。うん、