料理が充実すると、人生も充実する──『常備菜』ほか読書感想文
「料理好きですか?」
って聞かれたら、何て答えるかなとふと考えます。
祖母も、母も、料理は抜群に上手でした。
食材も結構こだわってたし、出汁もちゃんととってたし、だから薄味だけどものすごくおいしかった。
でも、カレーは母の手作りルーのカレーより、ぶっちゃけレトルトの方が好きでしたけどw
母親が仕事で遅くなる曜日は、週に一回父親の食事当番の日で、そのレパートリーはお好み焼き、即席ラーメン、焼肉、もつ鍋……
母はぜったい並べないそんなメニューも大好きでした。
そんな、平凡で幸せな記憶が、幼い頃の「食」にあります。
だから、私も料理が好きと言いたいし、子どもたちにも同じ記憶を持てるくらいにおいしいものを食べさせてやりたいという願望はあります。
ある……ものの、現実は「3食ぜったい食べさせる」以外はちゃんと達成しているとは言い難いし。忙しいとカット野菜とか味付け肉とか惣菜、冷凍・加工食品に頼るし、出汁は「ほんだし」頼みだけど。
でも、自分が作るものを「おいしい」って言って食べてくれる人がいる食卓はなによりも幸せだと思います(時間と心の余裕があればだけどね)。
たとえ多少身体に良くないものが混ざっていても、おいしいと感じて食べていれば、心は健やかになる。そしてできれば、食べたものは身になるものだから、ちゃんと作れるといいなと。
そんな私がよく使っているレシピ本を、いくつか紹介します。
常備菜|飛田和緒
とりあえずこのレシピ本に載っているものを一通り作れたら、日常の料理はなんでもできると思います。
そのくらい万能だし、日常使いできるし、ちゃんとおいしい。
「たしかに日本の食卓にはこういう惣菜が出るよね!」っていうスタンダートナンバーが揃う感じ。普段家にある食材、調味料でできることもポイント。
そして、表紙にもなっているマカロニサラダが神的においしい。
すし酢を入れるのがポイントなのですが、めんどくさいので私は「すしのこ」で代用。水っぽくならずおいしいです。
マカロニ1袋使ってもうちでは一食でなくなります(減りが早すぎて常備菜にならない)。
大家族ごはん|Mako(多賀正子)
オンラインとかのレシピを見ていると、調味料を倍量で計算することすらめんどいこともw
育ち盛り食べ盛りの子どもたちと、いまだによく食べる夫がいる我が家では、鍋いっぱいおかずを作っても瞬殺(基本肉はキロ買いです)。
とにかく一気にどかっと作るコツってないもんかな〜と思っていた時に出会った本。ホットプレートとかオーブンとかフル活用で、一度に大量に作れるレシピなのでなんだかスカッとします。
オーブンって、めんどくさそうに見えて意外に切って並べるだけで美味しく特別感のある料理ができるので、最近多用しています。
成長期の中学生男子もよろこぶガッツリしっかりおいしいレシピです。
丸めないハンバーグ、包まないシュウマイ。|近藤幸子
個別に整形せず一気に焼く丸めないハンバーグ。ホワイトソース不要のグラタン。
このレシピ本でも“派生レシピ”“応用レシピ”がいくつも紹介されていますが、こういう「方法」を一回覚えると、食材を変えて無限に応用できるのでほんと便利。どんな形してても、どうせ一回で食べ切っちゃうしね。
フラインパンで練って整形すれば、ボールも要らない。洗い物が少ないのも、日々の料理ではプラスポイントです。
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日々忙しいですが、家族と「お腹いっぱい食べたね、おいしかったね」と言い合える、そういう時間が幸せだなあとしみじみ感じられる暮らしがしたいなと常々思います。
もちろん料理に手間をかけるのもいいけど、簡単においしいものが作れれば、ゆっくりした時間が手に入る。
おとといは満杯だった冷蔵庫の食材はどこへ? あっという間に作ったものがなくなる、キャベツ丸ごと一個、大根丸ごと一本がすぐに消えていくことに、時に「マジかよ……」と呟きつつ、そんな今の生活がとても幸せなのだとしっかり心に刻んで生きたいものです。
カバーアート:konomiasahiさんの作品