古い脅迫状
陽の当たる縁側で、
私は困っている。
脅迫状が見つかったのだ。
大掃除を終えた妻がさっき見つけた。
私が昔、
受け取っていたもので、
いつかちゃんと読もうと、
どこかにしまっておいたのだろう。
差出人のお名前は覚えてはいるが、
お顔が思い出せない。
しかし、困ったな。
今さら返事を出しても、
私のことを覚えていらっしゃるだろうか。
いやはや困った。
今時、
手紙で返事を出すのは大袈裟かもしれない。
妻と娘の声が美しく響いている。
いつものように
スーパーのレジ袋を被った妻が、
娘に古い脅迫状を読み上げているようだ。