「どうして謝らなきゃいけないの?」
印象的な夢を、観る。
とある(決して綺麗とは言えない)厨房で、亡くなった母が調理をしていた。出来上がったばかりのうどんの入った丼がステンレスの調理台の上に置かれ、丼からは湯気が立ち昇っていた。
次女がその調理台の脇を通った時、身体のどこかが当たって丼を床に落としてしまった。次女がしゃがんでそれを眺めていたので、僕は彼女へ母に謝るよう促すと「どうして謝らなきゃいけないの?」と眉間に皺を寄せて言った。
それを聞いた僕は思わず「そうだな」と納得してしまった。謝る必要は無いよな、と。
目が覚めた後「いや、やはり謝るべきではないだろうか」と思い直した時には既に遅く、「どうしてあの時納得したんだろう?」という疑問だけが残った。