漫画 日出処の天子 を読んで
漫画 日出処の天子 を読んだ感想を書いていきたいと思います。
1 厩戸皇子の魅力
厩戸皇子は、超能力を持っているという設定で描かれています。12歳頃(第1巻)から超能力を駆使し、自分にとって害をなす人物を抹殺したり、政治活動をしたりします。
また学問の才能にも優れているという設定です。
人間離れした不気味さを持ちながらも、類稀なる美貌と頭脳を持つ人物として、魅力的にに描かれています。
2 蘇我毛人との関係(序盤〜中盤)
蘇我毛人はそんな厩戸皇子に、戸惑いつつも惹かれていきます。2人は同じ夢を見たり、超常現象を同時に体験したりもします。
厩戸皇子は、その能力ゆえ、母親から疎まれています(その能力に気づくことができるのが母親と毛人だけ、というのがポイントです)。それに対して毛人自分を化け物とみなさず、慕ってくれる。それどころか、同じ世界を体験することもある毛人を、肉体的にも精神的にも求めるようになります。
毛人の存在により、厩戸皇子の孤独が癒えていくところが見どころです。
3 蘇我毛人との関係(終盤)
終盤では、厩戸皇子の思いは成就することはなく、2人は決別します。
決別のシーンは、2人の道が交わることはもうないのだということが描かれています。ここを読む度に、とても悲しく、切ない気持ちになります。
魅力的な人物でありながらも、孤独を抱えて生きていく厩戸皇子。毛人という理解者を得たにも関わらず、彼は厩戸皇子の元を去ってしまいます。
しかし、厩戸皇子は新たな道を見つけ、邁進することとなります。
孤独を抱えながらも、自分の見つけた道を進んで行こうとする姿に、尊さを感じました。
4 まとめ
飛鳥時代の仏教のあり方、政治史が分かりやすく描かれており、歴史物してもたいへん面白いです。
物語を読むと、厩戸皇子の魅力に夢中になれます。こんな人物が自分の近くにいたら、不気味と思うか、それとも魅力を感じるか…どちらなんだろうと思います。
厩戸皇子が最大の理解者である毛人を失ったことについては、どうにかできなかったのか…と思ってしまいます。でも、それが運命なのであり、彼が物語の上で新たな道を邁進するきっかけになったのだろうと思います。