岐阜県 東雲橋 ボウストリングトラスを拝見
ボウストリングトラスという形式名は、最近知りました。
ボウ+ストリング+トラスという単語の組合せで、弓状になっていることを意味しているようです。
アーチ橋でしょ?トラス橋なの?と頭の中の整理がつくまでには時間がかかりました。今でもサッと見分けがつかないと思います。
さて、東雲橋は木曽川の大井ダムの近くにあります。今となっては隣に新しい東雲橋が架けられていて、このボウストリングトラスの東雲橋はダム管理としてのアプローチやちょっと抜け道的なルートになっているようです。
トラスとアーチの違いとなると、棒状の部材を組み合わせたのがトラスであり、円弧的な部材が入ってくるとアーチ(ランガー・ローゼ)という理解だったのですが、その中間にありそうなのがボウストリングトラスです。主構の形状に着目して説明するとわかりづらいのですが、むしろ補剛桁の有無で見るとわかりやすいかもしれません。トラスには補剛桁がなく、アーチ橋には補剛桁があります。写真の東雲橋は円弧部があるのでアーチ的ではあるのですが、補剛桁がないので・・・といった説明で納得しています。
まずは上弦材の写真を。きれいな円弧上になっています。昭和5年に架設されたとのことですが、当時であれば板は直線状(短冊状)に切断したものを使うことが多かったのではないかと思います。材料からの歩留まりや切断の視点として。
支点の格点にはピンがあり、そのピンが支承の回転部となる構造です。
そして東雲橋の特徴として、支点近くの垂直材には、外側に張り出した補剛部材が設置されています。最初に見たときは最近の補強なのかな?と思いましたが、おそらく当初に設置されたものではないかと思います。
支承部を見てみると、高力ボルトで接合された部材がありました。下弦材側は耐震補強(落橋防止システム)のもので、支承の上側は板厚増の対応かな?
東雲橋の情報源は、定番の「歴史的鋼橋検索」です。
構造的な部分とは別に、意匠としても当時のおしゃれ感があります。
高欄は建設当時のものなのかはわかりませんが、笠木を通す部分が個人的には好きです。
東雲橋から見える大井ダムは土木遺産に選ばれています。