見出し画像

好きな野球映画2つ

子どものころ、横浜大洋ホエールズのファンでした。

よくいえば豪快、悪くいうと大味なプレーやスーパーカートリオの走塁、時に目を見張る守備が好きで、今でも足が速い選手や守備のうまい選手をつい贔屓してしまいます。
でも、いちばん好きだった選手は背番号7番カルロス・ポンセでした。当時日本人でもなぜかヒゲの多かった大洋の中で、プエルトリコ出身ポンセはヒゲ本場感が漂い陽気なキャラクターも相まって、見ていると明るい気持ちになりました。サヨナラホームランを打ったポンセは、スターマリオにしか見えませんでした。

万年Bクラスが当たり前で、98年の優勝はびっくりしたけれど、ベイスターズと名称が変わってからはファンではなく好きな球団というくらいになっていたので熱狂はせず優勝パレードを見に行く程度でした。
ビルから大きめの白い紙吹雪が降る様はまるでニューヨークのようで、横浜らしいパレードだったと今でも印象に残っています。
画像やニュースは見つけられなかったですが、元オーナー企業大洋漁業のウインドウアートで「W」の文字が浮かんでいたと記憶しています。
情報がなさすぎて、ひょっとしてただの記憶違い妄想だったら失礼。

大洋ファンだった頃、2つの野球映画に出会いました。
ひとつは「フィールド・オブ・ドリームス(原題 FIELD OF DREAMS)」
もうひとつは「君がいた夏(原題 STEALING HOME)」
2つとも、自分の好きな映画ベスト5に入ります。

どちらも、野球のゲームはストーリーとあまり関係ないのですが、野球という主題がなければ成立しない映画です。

「フィールド・オブ・ドリームス」のクライマックスです。
各々の心理的な動きを的確に演じる俳優たちの絶妙な表情に凄みを感じます。
「声」の主をシューレス・ジョーから伝えられ、時空を超えたぎこちない親子の対話を見守る妻子の思いやりが胸をしめつけます。
さまざまな野球人と野球を愛する人の酸いも甘いも存在する人生がアイオワの夕暮れに優しく包まれていきます。

そして30年後、At last, People had come in reality

そしてこの観客をみると劇中にあるように、野球を通してアメリカの夢を見たいという人々がこれだけいるのかと、テレンス・マンの言説がより感動的に感じます。


「君がいた夏」は、有望な高校球児だった主人公の追憶の物語です。
思い出が人の生を再生させることができる、ということを当時の私は気づきませんでしたが、今ではこの映画を観るたびに、思い出は人生の支えになると感じます。

映画の原題「Stealing Home」は、「ホームスチール(本盗)」を意味していて、物語上もホームスチールが大きな意味をなします。
が、個人的には父を事故で失い、人生設計がずれはじめ野球選手としても芽の出ない主人公や自由奔放な生活の末自死してしまうケイティ(ジョディ・フォスター)など、「Home」、心の拠り所をいつしか奪われた人の物語という二重の意味もあるのかと今では感じています。

ジョディ・フォスターが本当に美しく、今でもいちばん好きな俳優です。
自由に駆け回る様を笑顔で少年ビリーに伝えた後、そうできたらな、と言いながら見せる寂寥感溢れる表情は、ケイティに訪れる悲しい最期を予感させる切ない瞬間です。

この2つの映画は音楽も珠玉です。フィールド・オブ・ドリームスではジェームス・ホーナー、君がいた夏ではデビッド・フォスターの音楽が物語に大いに華を添えます。


さて、私といえば、今や横浜DeNAベイスターズのスタメンすらちゃんと認識できていない感じになってしまいましたが、ありがたいことに定期的に試合に誘ってくださるベイ仲間がいて観戦を楽しむ時間があります。
野球観戦はゆっくり会話しながら観るも、応援に熱中するも両方楽しめるのが良いです。特に今はベイファンの熱い応援や球団の仕掛けはとても魅力的です。
ただ、あの大洋時代の余裕のあるハマスタでもう一度観たい、という気持ちが捨てきれません。
ベイ愛好家としてはへっぽこですが、野球を観たり、その背後にあるエモーショナルな魅力にはいまだに取り憑かれていると感じます。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
夏は終わっていく中、久しぶりに晩夏の野球観戦をした思い出におすすめ映画をご紹介しました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?