人事施策の内製化支援 事例紹介(前編)
2017/05/22 小野寺友子
かつて通っていたビジネススクール。自社をテーマに外部環境分析からビジョンを考えるクラスで、私は自社の近い未来に「企業に対する人事施策内製化の支援」をあげた。答えを持たず・最適解を求め・クライアントと協働する、組織人事コンサルタントとして、私は内製化支援をやりたいと思った。それをやると自分たちの仕事がなくなることになる、のではあるが、健全になくなることを喜びたい。
この数年前の私の思いは、最近いくつかのプロジェクトにおいて実現できている。一つを、今回と次回で紹介してみたい。
プロジェクトのテーマは、P社フラワー事業部門におけるベーシックスキルのボトムアップ。
ウェディングの装花やアレンジメントの小売販売を手掛けている当社のフラワー事業は、事業規模拡大に伴い、オペレーションの標準化、顧客接点の強化、商品のブラッシュアップを進めてきたが、経験者ばかりを採用、とはさすがにいかず、スキル面での課題が生まれていた。
かつて「花業界」は、10年下積み、先輩の背中を見て学べ、が常識だったそうだ(今もそうかもしれない…)。このまま10年じっくり育てていては、事業の展開スピードに全く追いつかない。そこで、スタートしたのがスキルアッププロジェクト。目的は、未経験者やローパフォーマーを効率的に育成し戦力化することだ。
プロジェクトメンバーは、ハイパフォーマーだけではなく、ミドル、ローパフォーマーも加え、レベル差を細かく可視化するところから着手した。
背中を見て10年、の世界なだけあり、ハイパフォーマー達は暗黙知だらけ。手が勝手に動く。更によく観察するとハイパフォーマーそれぞれ微妙に違う。教える方がその技術を言葉で語れず、様々なので、教わる側は「すごいな」とは思っても、再現できない。「適切な強さで」「適切な角度で」「ゆっくり丁寧に」では分からない。
暗黙知を言語化し、自社の求めるベーシックスキルを、未経験者やローパフォーマーでも分かるマニュアルとして型化するのに4ヶ月。(whatの構築)
そのマニュアルに基づき、未経験者が一定レベルまでは出来るようになるトレーニング体系を仮説立て、トライアル実施に2ヶ月。(howの構築)
取組の目的やプロジェクトにかける思いを伝える場を持ち(whyの伝達)、トレーナーの任命と組織変更を同時に行い、繁忙期による一時中断を挟みながら、トレーナーをトレーニングする場に8ヶ月目にしてようやく辿り着いた。
(つづく。後編はトレーナートレーニングを進めるうえでのコツを書きます。)