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働き方改革を考える ―専業主婦の社会復帰―

2017/01/31 小野寺友子

企業は今、働き方改革に注力し始めている。働き方改革は、長時間労働の是正…と捉えられがちだが、それだけではない。残業禁止にすれば、はい完了。というわけではない。働き方改革は、少し前(昨年くらい)に声高に言われていた女性活躍推進の文脈とつながっている。日本の労働力問題を家にいる女性を社会に出すこと、そして企業内にいる女性にもっと頑張ってもらうことで解決しようというチャレンジが女性活躍推進だった。だが当人たちに「社会に出て頑張れ!」「もっと上を目指してがんばれ!」とはっぱをかけるだけでは解決しなそうだ…という気づきが、職場にも企業にも社会にもあった。よって、企業内の抜本的な改革へとコマを進めたと解釈している。今日はこの働き方改革を、私の身近な友人の事例から紐解いてみたい。

私の友人の多くは、第2子出産を機に勤めていた企業を辞めて専業主婦になった(第1子ではないのがポイント)。その後、第2子が小学校に入学したあたりでもう一度キャリアを考え始める。ワーキングマザーにとって、保育園から学童保育に上がる小学校入学は、キャリアのブレーキとして語られる(小学一年の壁)。一方の専業主婦にとっては、子供が自分で学校の行き帰りができるようになり、公立ならば給食も出て、帰宅後は友達と遊んだりしはじめる小学校入学は、急に生じた空き時間に、再度キャリアを考えるアクセルとなる(小学一年の扉とでも言えようか)。小学校入学は、母にとっては重要な節目だ。

話を戻すが、専業主婦となり第2子が小学校に入学した彼女たちが、もう一度キャリアを考えるタイミングを想像してみたい。一般的に企業は「年齢制限」で採用しない(年齢制限にひっかかって書類も通らないというのはよく聞く話)、自分自身にも実は「うり」となるスキルがない(ように感じ、資格を取る友人もいた)、家族も母親が家にいつもいることに慣れている(よって家事を手伝えと今更言われても困る)。一旦やめて、数年のブランクが生まれると、そんなに簡単に社会に復帰することはできないのが実情だ。

運よく、うまく企業に戻れたところで、かなりの外様感があり、仕事の勘も取り戻せず(6年のブランクは長い)、時に子供の都合で休むことも多く、本人も企業側もつらい日々を過ごしそうだ。
こんなことがあれこれ想像されるから、なかなか社会に復帰できない。これまではそれで誰も困っていなかったから、社会復帰は進まなかった。

だから、働き方改革。
企業は、「受け入れて活かし合う」マインドを持たなければいけない。多様性を「認める」ダイバーシティだけでは足りない。「あの人だけが早く帰ってずるいよね」「あの人に頼みにくいよね」という声を排除し、「あの部分をここに活かしてもらおう」「あの人にこの仕事を頼むと進化しそう」の声をつくる、風土改革が必要。働き方改革は、長時間労働を是正する制度改革ではなく、抜本的な風土改革なのだ。(つづく)

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