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椅子を編むーテープシート

シェーカーチェアの座面は織物のテープを格子状に編み込んだ座面が代表的です。

柔らかさと安定感を兼ね備えた手作業ならではの座面のように感じます。UNOHにおいても、展示や特注などの特別な機会を除けば、殆どの椅子がこのテープによる座面です。


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初期のシェーカーチェアにはウール素材のテープが使用されていましたが、後にコットン素材へと移行していったようです。

それより以前はラッシュや籐といった天然素材が用いられていましたが、織りの技術の向上と共に、天然素材に比べ扱いが容易で、耐久性も高いテープによる座面が採用されるようになりました。クッション性を備え、衣類を傷つけず、湿度管理も容易であることは座る側にとって好ましい座面であったと言えます。


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座面が汚れたり、傷んだ時には巻き替え、もしくは継ぎ足すことで修繕もしやすく、また貫や脚など部材への負担と加工はペーパーコードや籐による座面に比べると非常に少なく済む点もシェーカーの合理的な考えに則している要素です。

シェーカーのコミュニティの中では、この座面を編む工程は女性の仕事の一つとしても割り振られていたようです。習得も容易で、専門性や高い技術を要さずに、安定した精度の椅子を作ることのできるテープによる座面は、製作における分業や効率の面でも適しており、作り手にとっても、座り手にとっても多くのメリットと改善をもたらしたということがわかります。


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実際のシェーカーチェアには様々な色のテープが巻かれています。意外かもしれませんが、色に関して、着色や染色といった部分にはシェーカーの人々の積極的な様子が窺えます。

彼らにとって合理的な選択なだけでなく、織物のテープによる豊かな色彩は、ストイックな規則的な生活の中で私たちが思う以上の彩りを与えていたのかもしれません。



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